そして、彼女は反対する両親と決別までして恭精を養ってくれたのだ。
 そして、【ポテンシャル・アンサー・リスト】というものも恭精のために手に入れてくれた。
 これは芦柄 吟侍の後継者の1人に選ばれるための条件の一つでもある。
 【答えの力】に匹敵する様な何かだ。
 だが、それが何のリストだかは解らない。
 それでも、もの凄いものには違い無い。
 彼女は掃き溜め状態の恭精にその英雄への道をお膳立てしてくれたのだ。
 その代わり、彼女は代償を支払ってしまった。
 数年後には彼女は醜くただれるという運命が待っている。
 だから、彼女は決意する。
 恭精との別れを――
 彼はこれから這い上がって行く男――自分の様な存在が周りに居ても邪魔になるだけ。
 彼に道を示せたら黙って身を引こう――そう考えていた。
 だが、恭精にとってはそれは承服(しょうふく)しかねる事だった。
 例え、この先、どの様な美人が彼の前に現れようと、彼にとって最も美しい女性はまどりであって、それ以外はあり得無い。
 彼女が望むのであれば、【ポテンシャル・アンサー・リスト】を使ってのし上がって行くが、それは彼女あっての事だ。
 恭精は叫ぶ。
 【わしゃ、あんたが良いんじゃ】と――
 吟侍の言う、【曲がった事が大っ嫌ぇな、猪突猛進型】――それは彼――【海城 恭精】を指す言葉だ。