ただ、自分の欲望のためにしか行動していないような存在が、
 ろくに責任も取れないような愚か者が、
 遊び半分に手にして良い力では無い――終主はそう思っている。
 この力は軽はずみに使って良い力ではない。
 彼はそう思っている。
 出来れば使わずに人生を終わりたい。
 使わずにすんで人生が終わるのなら、それもまた良し。
 だが、一度でも使えば、彼の運命は流転する。
 だから、その力を使えば、この様なならず者ごとき、瞬殺出来るにも関わらず、彼はその力を使わない。
 それは彼が掲げたルールだから。
 少なくともこんなくだらない相手に対して決断するに至る事になる力じゃ無い。
 だから、彼は耐えた。
 黙って、ならず者の暴力を耐え続けた。
 何も無いとならず者達が諦めるまで。
 ひたすら耐えたのだった。
 では彼が使わない事を決めた力とは何だったのだろうか?
 それは、彼が、芦柄 吟侍によって、後継者の1人に選ばれた力でもあった。
 その名称は【答装(とうそう)】という。
 芦柄 吟侍には【答えの力】という力があった。
 答えを作り出す力の事だ。
 【答装】とはそれに近い力でもある。
 答えの結晶――それが、【答装】と呼ばれるものだ。
 それが何なのかは解って居ない。