リーネア王国は大きな冒険を予定しているという。
 その冒険での手柄をレクタ姫の婿とする条件として。
 レクタ姫という餌につられた哀れな男達は命がけで手柄を取ろうと躍起になるだろう。
 全ては仕組まれている事なのに。
 おそらくは僕がされた様に、あらかじめ相手として選んでいる王子以外が手柄をあげれば人知れず暗殺されるのだろう。
 醜い。
 醜すぎる。
 王族とはそんなものなのか?
 僕は失望しかける。
 だけど、完全に失望しないのは目の前に敬愛出来る王族がいるからだ。
 クルワ姫という身も心も美しい本物の王族――本物の姫君がいるからだ。
 全ての者が認めなくても僕だけは認める。
 クルワ姫こそ、真の王族だと。
 その思いをクルワ姫に伝えると姫はいつも困った顔をする。
 彼女にとって見れば、非道を行っている王族もまた、自分の親族、家族だからだ。
 家族を悪く言われるのは彼女としても喜べないのだろう。
 例え、どんなに冷たい仕打ちをされていようと家族は家族。
 そんな優しい彼女だから、僕も今言った言葉を後悔する。
 彼女を悲しませてしまったと自分を責める。
 僕はバカだ。
 優しい彼女が家族の事を悪く思う訳がないじゃないか。
 どんなに悪人でも家族は家族。
 彼女にとってかけがえのない家族なんだから。
 彼女にとっては自分が涙を飲めば済むこと。
 だから、彼女は幽閉されたままなのだ。