確かに怪物ファーブラ・フィクタの性格ならば、吟侍にちょっかいをかけて来るというのも考えられる。
 なんだかんだで吟侍のことを気にしていた様だったので。
 吟侍達はセレークトゥース・ワールドで大き過ぎる力を得た。
 その力を持ってすれば、怪物ファーブラ・フィクタと言えども簡単に吟侍達を始末する事はできなくなったはず……。
 だが、怪物ファーブラ・フィクタには余裕がある。
 いつでも、吟侍達を倒せるという余裕が。
 怪物ファーブラ・フィクタは関係者全てを一掃する力を持っている。
 その力を持ってすれば、吟侍と袖すりあった程度の知り合いでも捕まえて攻撃すれば、吟侍にダメージを与える事も出来るだろう。
 それを回避するには能力浸透耐久度(のうりょくしんとうたいきゅうど)で怪物ファーブラ・フィクタを完全に上回るしかない。
 だが、基本的に吟侍の七倍の魂を持っている怪物ファーブラ・フィクタのそれを超える事はそう容易ではない。
 七倍の存在力を持って居る怪物ファーブラ・フィクタの方が能力浸透度(のうりょくしんとうど)と能力浸透耐久度では彼よりずっと上回っている。
 パワーで超えられても能力浸透度と能力浸透耐久度の問題で怪物ファーブラ・フィクタに勝つ事は難しいと言える。
 怪物ファーブラ・フィクタを始末出来ない以上、クアンスティータ・ルーミスの誕生を早めるという行為を邪魔出来ないという事でもある。
 倒せないとわかって居るからこそ、怪物ファーブラ・フィクタは安心して、ルーミス誕生のプロセスを進めているのだ。
 ロスト・ネット・ワールドに怪物ファーブラ・フィクタが来ているとわかった以上、【宇宙海】のエリアどころではないというのが本音だったが、吟侍はルーミスの誕生が悪いことだとは別に思ってはいなかった。
 怪物ファーブラ・フィクタがクアンスティータを使って神や悪魔、人間達に対して復讐をしようとしているのが問題なだけであり、クアンスティータの誕生を否定するつもりは毛頭、無かった。