気づいていなかったのは対戦者である【リトサ】だけだった。
 ずっと【リトサ】と会話していたステラはステラではなかったのだ。
 【リトサ】が必死にだまくらかそうと思って会話していたのは彼女が【かかし】を使って彼女のふりをしていたものに過ぎなかった。
 本物のステラは【リトサ】が出てくるまでに蜘蛛の巣状に形を変えたかかしで出来た死角を通って、【リトサ】の背後に回り、彼の作り出す【嘘】の武装を一つ一つこっそりと引きはがしていた。
 気づいた時は【リトサ】はほとんど丸裸の状態でステラを騙そうと必死で言葉のマジックを披露していたのだ。
 騙そうと思っていた彼女に逆に一杯食わされたのだ。
 ステラは、【リトサ】の最後の【嘘】――巨大老人の姿を解除し、本来の姿である三つ首の姿に強制的に戻された。
 正体見たり枯れ尾花。
 本来の姿はステラよりも小柄な矮小な男に過ぎなかった。
 ステラは、
「まだやるのかしら、嘘つきさん?」
 とウインクして見せた。