【フロリゼル】は、
「そんな冷たいダーリンが大好きよ」
 と言って、【ソルテリアー】の腕に絡みついた。
 見た所、【ソルテリアー】に完全に惚れ込んでいる【フロリゼル】が彼につきまとっているようだ。
 【ソルテリアー】――どこかで聞いた事のある名前だ――
 そうだ、赤いフードの男、【クトゥーアル】だ。
 【クトゥーアル】は黒いフードの男、つまり、この【ソルテリアー】の真似をしているのだ。
 つまり、【クトゥーアル】よりも数段上の存在という事になる。
 QOH――クォーター・オブ・ハンドレッド――クアースリータがそれに値するとされる呼び名だ。
 当然、クアースリータが誕生する前から他のQOHは居るとされていたが、まさか、目の前の男が?
 という事は【フロリゼル】はともかく、クアースリータだけでなく、この【ソルテリアー】にも今の吟侍達では束になってかかっても勝てない存在だという事だ。
 クアースリータの方は遊んでいるという感覚があるので、僅かながらに優しさというイメージもあるが、目の前の男からは圧倒的な威圧感しか感じなかった。
 今の【答えの力】では全く通用しないので、吟侍はこの男について探る事が出来ない。
 こんなことなら【クトゥーアル】にもう少し詳しく聞いておくんだったと後悔するが、この男の奇妙な力によって、【答えの力】の予想外の状況にある今は何も出来ない。
 恐らく、クアースリータの取り巻きがいないのもこの男の力なのだろう。
 全く得体の知れない力を持つ男――吟侍は強い戦慄を覚えた。
 何しに来たんだ、この男は……?
 疑問を浮かべるが答えが見つからない。