吟侍は、
「ちょっと待ってくれ。おいら達はこれから海空の見舞いに行きたいんだけどさ」
 と次々に訪ねて来る存在に待ったをかけようとしていた。
 海空とはクアンスティータの誕生事件で気がふれてしまった、吟侍の茶飲み友達の【陸 海空(りく かいくう)】の事だ。
 まともな状況ではなかったので、セレークトゥース・ワールドでの冒険は置いて行ったのだが、どこかで入院しているはずなので、とりあえず無事に戻って来たという報告をしたいと思っていたのだが、【ヨスマミ】が連れてきたであろう様々な存在達が吟侍達の行動を遮ってしまっていた。
 有名人になって、ちやほやされるというのは吟侍達の柄ではない。
 それよりは、自分達の思った様に行動したいと思うのだった。
 吟侍は、
「なぁ、【ヨスマミ】さん、帰ってもらって良いかな?おいら達、とりあえず、№2とか№3とかに興味ねぇし。他あたってくんねぇかな?」
 と言った。
 【ヨスマミ】は、
「そうですか?それでは、【選考外強者】としての立場を貫くんですね?」
 と聞いてきた。
 つまり、正式には認められない強者で居るという意味だ。
 吟侍は
「そうだな。それで良い。お前さん達も異論はねぇな?」
 とエカテリーナ達の方を見た。
 全員返事はそれで良いとの事だった。
 吟侍達仲間内の中に、自分こそが№2であるという事を主張したい者などは一人も居ない。
 それが、虚像の主張であるという事がよくわかって居るからだ。
 そんな事よりも目の前の問題――特にクアンスティータの問題をどうにかする方が大事だった。
 【ヨスマミ】が帰ると蜘蛛の子を散らすように訪問者達も帰って行った。
 どうやら、【ヨスマミ】に認めてもらいたいというのもあったようだ。
 どちらにせよ、ろくな存在ではないなと思う吟侍達だった。


続く。