つまり、クアンスティータに影響する空間や時に関する力が大きく制限されてしまうというのが最大の理由だ。
 本来の力であれば、怪物ファーブラ・フィクタにも遅れを取るつもりはなかった。
 本来の力であれば、怪物ファーブラ・フィクタと魔女ニナ・ルベルの暗殺は出来て居たはず――その思いがあった。
 未来の世界は壊滅状態にはなっているが、生き残っている生存者達のレベルは極限まで高まっているのだ。
 生きているという事だけで、相当強いと言えたのだ。
 だが、今は見る影も無く弱っている。
 クアンスティータは仕方が無いにしても、クアンスティータの利権をむさぼる連中にすら、うまく対応出来ずに居た。
 我ながら情けないという感じだった。
 こうなる事はわかっていた。
 わかっていた上で、あえて、吟侍に最後の希望を託したのだ。
 その吟侍が自分を信じてくれと言っている。
 今の現状は未来の世界から見た過去――吟侍が1番の化獣ティアグラに殺害されてしまったという過去は回避出来て居る。
 怪物ファーブラ・フィクタが時を早めて、クアンスティータの他の本体を早く誕生させようとしているのであれば、未来の世界において実現しなかった吟侍と第五本体クアンスティータ・リステミュウムの対決もあるかも知れない。
 未来の世界を壊滅寸前まで追い込んだ宿敵リステミュウムとの戦いが。
 新風ネオ・エスクでは手も足も出なかったリステミュウムをギャフンと言わせることが出来るかも知れない。
 グリーン・フューチャーのジュエル隊長が言う。
「芦柄 吟侍殿、我々は貴殿にこのままラエルをつけます。どうぞよしなに」
 と。
 【ラエル】とはステラのコードネームの事だ。
 彼女を吟侍のサポートとしてつけるという事なのだろう。
 ブルー・フューチャーのテソロ隊長が続けて、
「ならば、こちらはディアマンテを出します。よろしくお願いします。ディアマンテ、お前からも挨拶しろ」
 と言った。