吟侍は、
「何か問題があるのかい?」
 と尋ねると、
『全ての秩序を握るのが神超存様からクアンスティータと呼ばれる存在に移るやも知れないという事だ。踏み越えるべきではない領域にその存在はなろうとしている』
 という答えが返って来た。
「おいらはあの子はそんなに悪い子には見えねぇんだけど?」
『良い悪いは問題ではない。均衡が崩れるという事だ』
「わかっているさ。あの子を他の悪い奴に利用されたらそれこそ、えらいことになるってことくらいは」
『それがどういう結果をもたらすかわかって居るのか?』
「わかんねぇさ。ただ、あの子の親はおいらの前世なんでな。あまり良い親とは呼べねぇし、おいらは尻ぬぐいをするつもりでいる。あの子はおいらが導くさ。悪い子にはさせねぇ」
『お前に出来るのか?』
「それこそ、やってみねぇとわかんねぇさ。でも、おいらは感じるんだ。あの子は悪い子じゃねぇ。最悪の結果になるのなら、それは周りの環境が最悪だからだ。おいらはその環境を整理してやりてぇと思っている。背中は向けねぇ」
『力不足だ』
「だろうな。わかってるさ、今のままじゃ全く話にならねぇ事くれぇは。――今のおいらは出来もしない事をただ、のたまわっているだけのただのバカに過ぎねぇ。だから、今のままでいるつもりは毛頭ないさ。必ず大きく変わってやる。いや、変わり続ける。そうでないとあの子とまともに向き合えねぇ」
『我はお前のその気持ちを確かめたかった。だからこそ、あえて、クアンスティータ誕生には目をつぶった。お前の可能性を信じて』
「そいつぁ、ありがとうって言えば良いのかい?プレッシャーだなぁ。良いのかい?おいらに任せても成功するって保証は全然ねぇんだぜ。成功率はゼロと言っても良いくらいだ」
『お前の表情からは可能性がゼロではないと読み取れる』
「なるほどね、あんがとさん。あんた、かなりの高位の存在なんだろ?何となくわかるよ、今ならな。たぶん、セレークトゥース・ワールドに行く前だったら、全くわかんなかっただろうな。これだけでもかなり前進したんだと思うぜ。――と言ってもまだまだ、全然足りねぇけどな。クアンスティータはそれだけ奥が深い。だが、手のかかる子供ほど可愛いってのはこの事だとおいらは思っている」
『我らはお前に賭けよう。これより、知りうる限りの情報を伝えよう』
 と言う会話をした。