09 ほんの少しの歩み寄り


 お互いにムカつきながらも吟侍狼と六花は【六花軍】本部の掃除を終えた。
 さて、ここからが、軍の立て直し作業となる。
 まずは、仲間を集めなければならない。
 たった二人では【ファーブラ・ローマーネンシスの物語】の勢力には勝てない。
 今までの様に他の【女王軍】のお荷物【女王軍】でいるしか無い。
 六花女王には仲間が必要だった。
 敵と戦うための兵力が。
 だが、今はそれを探すつてが無い。
 今できる事――それは生活を安定させて、敵と戦う準備を整える事だ。
 吟侍狼は【六花軍】に来た事で引っ越しをする事になる。
 この地に慣れなくてはならない。
 六花は色々と親切に案内してくれるというタイプではないので、彼は自分で、この地の事を知らねばならない。
 そう、思って居たのだが、六花は、
「ここ、知らねぇんだろ?案内してやんよ、感謝しろよ」
 と言った。
 吟侍狼は、
「意外だな……」
 と言うと、六花は、
「うっせぇ。てめぇに案内もろくにできねぇと見下されるのが嫌なんだよ」
 と言った。
 吟侍狼は、
「じゃあ、案内してもらおうじゃないか」
 と言うと、六花は、
「黙って、ついてこいよ」
 と言って案内を開始した。
 相変わらず仲が良いとは言えない関係。
 仲は決して良くは無いが、少しは歩み寄らなければ【六花軍】は成立しない。
 六花はこんな奴に頼らなければならないのが悔しい。
 吟侍狼は何故、名称が【六花軍】何だという不満がある。
 二人はそれ以外にも色々と不満を持っている。
 だが、それは今は飲み込んで行動を共にした。
 六花にとっては本当に憎むべきは吟侍狼ではなく三部作。
 吟侍狼にとってはこの分からず屋に【ファーブラ・プエリーリス】の良さを教える事。
 それまでは出て行けない。
 だから、一緒に居る。
 嫌々だけど、一緒に居た。
 六花は、近くの町を案内した。
「ここのばあさんはしみったれてんだ。アタシがまけてくれっつってもぜってぇまけねぇし」
 と言う、案内というよりは愚痴の様なものだった。