03 ファーブラの物語


 男の子はおばあちゃんに【ファーブラ・プエリーリスの物語】という童話を聞かされ、
 少女は老紳士に【ファーブラ・ローマーネンシスの物語】という小説を聞かされた。
 一見、関係ない二つの出来事――
 だが、おばあちゃんと老紳士、【ファーブラ・プエリーリスの物語】と【ファーブラ・ローマーネンシスの物語】にはつながりがあった。
 おばあちゃんと老紳士――それは【年寄りの神話】――【ファーブラ】の残党だった。
 全ての世界は【ファーブラ】と戦い、勝利した。
 だが、三部作と呼ばれている一つが無くなったに過ぎなかった。
 残る二つ――それこそが、【青年の小説】とされる【ファーブラ・ローマーネンシス】と、【子供の童話】とされる【ファーブラ・プエリーリス】だった。
 おばあちゃんと老紳士は【ファーブラ】の中のキャラクター【語り聞かせ】のメンバーだった。
 【語り聞かせ】は【ファーブラの物語】とされる物語の中にいる登場人物だった。
 【語り聞かせ】は100名の老人達で構成される組織で、【語り聞かせ】が語ったいわゆる【神話】が実在化して人を襲うという物語となっていた。
 いや、物語というよりは資料集の様なものだった。
 明確なストーリーが存在せず、【語り聞かせ】のメンバーの姿形やどの様な【神話】を聞かせるかなどが綿密に設定として描かれており、それを元にお話が作れるという状態のものだった。
 ある時、一人の魔道士が【ファーブラの物語】を奪い、それを実在化させた。
 それが、全ての世界と【ファーブラの物語】の登場キャラクターとの戦いの始まりだった。
 【ファーブラの物語】――特に【語り聞かせ】達の力は凄まじく、多くの犠牲を払った。
 だが、それでも一人、また一人と【語り聞かせ】を潰していき、ついには、【ファーブラの物語】の登場キャラクターのほとんどを倒す事ができたのだった。
 ついには、残るは、二人の【語り聞かせ】を残すのみとなった。
 その二人の用意した【神話】も底をつき、後は、始末すれば全ては終わる――そう思っていた。