勇者となる以上、敵との戦闘は避けられない。
 戦闘になれば、命を落とす事だってある。
 勇者としてこの家に来る以上、遊び半分ではすまないのだ。
 だからこそ、厳しいテストがある。
 実力が無い者は勇者として認められない。
 つまり、ここで追い返すのも優しさの一つなのだ。
 由香子の能力は体を溶かして、物に入り込み、物を動かすと言う能力だった。
 本来であれば、一つしか動かせなかったが、雅は技を昇華させて、体を分離させて最大三つまで同時に動かせるようになっていた。
 雅は由香子の体を三つの物体に入り込ませた。
 彼女が入ったのはドームの外装に設置された3体の巨像だった。
 筋肉質な3体の古代の戦士がモチーフの巨像は雅に操られて動き出す。
 残念ながら、飾りなので、上半身までしか無いが、上半身だけで宙に浮き、ゆっくりと神倒の元に近づき、彼を三方から囲む。
 雅は、
「さあ、あんたの力を見せなさいよ。この巨像三体を壊したら一応、合格をあげるわ。倒せなかったら、出て行ってもらう。アンダースタンド?」
 と言った。
 【アンダースタンド】とは理解した?という意味だ。
 神倒は、
「了解。あんたを倒せば住んで良いってことだな。簡単な事だ。じゃあ、こっちもはじめさせてもらうぜ」
 と言った。
 神倒は戦闘準備をした。