するとその少女は、
「知ってるも何も私が恒田 雅だ。よろしくな、男の子」
 と返した。
 【私が恒田 雅】?
 ひょっとして同姓同名ってやつか?
 神倒はそう思い、
「そうか、お嬢ちゃんの名前も恒田 雅って言うのか――だが、俺が探してるのは大人の恒田 雅さんなんだ。お嬢ちゃんと同じ名前を持ったお姉さんかおばさん――もしかするとおばあさんかも知れねぇけど、いるかな?」
 と聞き返した。
 雅は、
「私の他に雅はおらんぞ。私がお前さんの探している恒田 雅だ」
 と言う。
 神倒は、
「あのなぁ、お嬢ちゃんが家主の訳ねぇじゃねぇか。冗談に付き合ってやりたい所だが、俺は住むところが無いんで今、それどころじゃねぇんだよ」
 と言った。
 その言葉を聞いて自分の姿の事に気づいたのか、
「……あ、あぁこれか、これは、確かに若い体だったな。ちと訳があってな、少女の体を借りとるが、私は間違いなく、私は恒田 雅だ。ちょっと体を無くしてしまってな。この子の体を借りている」
 と言った。
 神倒は、
「え?じゃあ、あんたが……」
 と言うと、雅は、
「だから、何度も恒田 雅だと言っているではないか。体は10歳の少女でも中味は50のお姉さんだ」
 と言った。