幸か不幸か、神倒は藤里姉妹の前以外には基本的に敵として現れていなかったので、彼は藤里姉妹の後継者としてすんなり受け入れられたのだった。
 彼は藤里姉妹の直弟子として、1年間鍛えられた後、勇者として送り出すと無理矢理決められた。
 そして、1年に及ぶ、無茶苦茶な特訓を経て、彼は藤里姉妹に恋愛の邪魔だから、どこかへ行きなさいという自分達の勝手な理由でたたき出されたのだった。
 それが、彼の経緯である。
 神倒としては、クオード・レ・ウェラが影で何をやっていたかも知らないし、もちろん、彼が言い残した【13女身像】、7つの悪夢、【アクター12】、【アクトレス24】という単語も初耳だ。
 そもそも、共に行動していても本心は絶対に見せなかったので、クオード・レ・ウェラが何を考えていたかも解らなかった。
 結構、単純な性格だったので、彼としては親友とまでも言わないまでも結構気の合う仲間くらいのつもりに思っていた【仮面の紳士】が実はクオード・レ・ウェラというとんでもない大物で彼が残した数々の遺産がこれからの脅威になるなどとは夢にも思っていなかったのだ。
 正に寝耳に水状態だった。
 訳もわからず、最強勇者、藤里姉妹の後継者に任命されて放り出された。
 それが、今の状況だった。
 どこへ行って何をすれば良いのかも解らない。
 全く先が見えない状態。
 ただ、姉妹にはどこへ行けとだけ言われていたので、そこを目指すしかない――という状況だった。
 神倒は、
「はぁ~……」
 とため息をつく。
 勇者という立場になってもお先真っ暗状態だった。
 彼はトボトボと指定された場所に向かって歩き出したのだった。