人見知りの激しい彼女だが、ジェルソミーナには打ち解けているようだ。
 ジェルソミーナは、
「ある男が、しつこくつきまとっていてですね。それを追い払うために、約束をしたのです。私の手帳を渡して、何でも良いからそれを埋めろと言いました。姫様がそれに興味を示さなかったら、諦めろと伝えて――そして、その男は手帳を埋めてきました。何を書いたかと思えば……」
 と言った。
 吹雪は、
「見せてください」
 と手を出した。
 ジェルソミーナは、
「つまらないものですが……」
 と申し訳なさそうに渡した。
 それを受け取り、吹雪はそれを見て行く。
 一枚一枚、丁寧にページをめくり、見て行く。
 その姿を見ただけで、隆作は感動だった。
 彼女が自分の書いたものを見ている。
 確かに見ている。
 それが何よりうれしかった。
 結果は二の次だった。
 しばらく読んだ吹雪は口を開く。
「つまらなくなんてないわ、ジェルソミーナ。これは素晴らしい文章よ。暖かみさえ感じます……」
 と言った。
 ジェルソミーナは、
「な、何故ですか?あの男はよりにもよって……」
 と言うが、吹雪は、
「その方は、自分の事を知ってもらってないからと言っていませんでしたか?」
 と言った。
 ジェルソミーナは、
「う……確かにそれは……」
 と言う。