02 啖呵切る


 隆作は今日も黙って、遠くから、彼女を見る。
 彼女とは吹雪の事だ。
 彼女は今日も一人。
 友達でも出来れば、彼女の顔ももう少し明るくなるのだろうが、どこか寂しげな表情だった。
 十分、彼女を見た所で、彼は下校した。
 彼はストーカーではないので、彼女の家を突き止めるという事はしない。
 だが……
「お前は誰だ?何故、いつも姫を見ている?」
 と知らない女性に脅された。
 女性の口調から、【姫】とは吹雪の事を指すというのが何となく解る。
 隆作は、
「あ、あんたこそ、誰だ?」
 と聞き返すが、その女性は、
「聞かれた事にだけ答えろ。お前は誰だ?」
 となおもつかみかかる。
 女性とは思えない力――恐らく、彼女は吹雪のボディーガードか何かだろう。
 逆らっても仕方が無いと判断した隆作は、
「ぼ、僕の名前は桐垣 隆作だ。彼女とは同じ学校の生徒だ。それ以外の何者でもない。彼女とも一言話しただけだ。彼女の事は少し気になっただけだ。嘘じゃ無い。本当だ。信じて欲しい」
 と言った。
 女性は、
「何故、気になったんだ?」
 と更に聞く。
 隆作は、
「だって、見た目が倭国人じゃないじゃないか。あんたと一緒だ。だから気になったんだ。それより、あんたは誰だ?こっちが名乗ったんだからあんたも名乗ってくれ。それがこの国の礼儀ってもんだ」
 と答えた。
 女性は、
「普通の生徒だと言うのであれば、知らなくて良い世界というものがある。関わらない事を薦める」
 と言う。
 隆作の頭の中では、
(まただ。だから、女ってやつは……)
 と怒りがこみ上げてきた。