01 素性の知らない女の子を守るナイト


「あの……落としましたよ……」
「え?あ、はい。……ありがとございます……それじゃ……」
 パタパタパタ……
 学校の廊下を少女が走っていく。
 二人の最初の会話はそれだけだった。
 少年の名前は桐垣 隆作(きりがき りゅうさく)16歳。
 ごく普通に居る倭の国の少年だ。
 少女の名前は花桜 吹雪(はなざくら ふぶき)15歳。
 ごく普通の倭の国の少女――とは思えない容姿をしていた。
 和名を名乗ってはいるが、彼女の容姿は明らかに外国人のもの。
 帰化したとも考えられるが、それにしては倭国語がたどたどしかった。
 まだ、覚えたての様な感じだ。
 学年が一つ違うので、直接の面識は無いが、倭国人とは思えない鼻筋の通った容姿から気になっていた。
 見目良く、一見、気立ても良さそうな雰囲気だったので、何となく好感を持っていた。
 だが、なかなか話しかけるきっかけが見つけられなかった。
 彼女には友人らしい女生徒が雰囲気に反してあまり見受けられず、いつも、図書室などで、一人、読書をしている様な印象だった。
 倭国語を覚えているのか?とも思ったが、どうもそうでもなさそうだ。
 難しそうな本を訳しながら必死に読んでいるようだが、日常会話の勉強に適した本とは言えないからだ。
 容姿が美しいので、声をかける男子は多いが、彼女の態度はいつもどこか素っ気ない。
 諦める男子も居るが、それでもしつこく声をかける男子というのはどこにでも居る。
 絡まれているのを見かねて、つい、落としてもいないものを【落としましたよ】と言って、声をかけたのだ。
 しつこく声をかけていた男子は邪魔が入ったと思い、苦虫をかみつぶした様な顔をして去って行った。