これを活かさなくては意味がない。
 それに、唯愛の両親の眠りを覚ましたり等彼女が困っている事を一つ一つ解決をして、彼女の気持ちを救うという結果を求められているのだ。
 何も出来ませんでしたではすまされないのだ。
 発想を高める環境を提供してもらった以上、それなりの結果を出さないと追い出されても文句は言えないのだ。
 それに――与粋は気づいていた。
 唯愛がまだ全てを話している訳ではないという事に。
 恐らく、与粋は唯愛が抱えている秘密のほんの入り口近くに立つことを認められただけに過ぎない。
 彼女を助けるヒーローになる可能性を示されただけに過ぎないのだ。
 本当のヒーローになるには、その前に立ちふさがる試練を突破しなくてはならない。
 その試練を突破して、ようやく本当のスタートラインに立てる――そんな所だろう。
 与粋から見た唯愛の印象は落ち着いている様に見えて、余裕のあるという雰囲気を演出してはいるが、その実、奥底では何か、もしくはいくつかの何かに対して酷く怯えているという事だ。
 今はその時ではないと、それを隠している――そんな気がしたのだ。
 ひょっとしたら、このゲームという形で参加しているものは全く別のものに様変わりするのかも知れない。
 彼女は、与粋の事はゲームのプレイヤーとしてではなく、想像力の面で評価していた。
 その事もひっかかる。
 プレイヤーとしての評価はどこか置き去りにされているような気がするのだ。
 確かに、プレイヤーとしては、全敗だから、評価の対象としてはお粗末なものになるのは仕方が無いのだが、彼女はその奥にある何か別の景色を見ている――そんな気がするのだ。
 そんな事などをいろいろと考えていた与粋は、
「いかん、いかん。集中、集中」
 と気持ちを切り替え、ペーパークラフトの制作に打ち込むのだった。
(もうちょっとなんだよな、とにかく……)
 と思った。