話を聞いて見てもまだまだ、わからない事だらけだが、一つわかった事がある。
 それは唯愛は大変困っていて、そのことで自分に助けを求めているという事だ。
 少なくとも、今は、世界で一番頼りにされているのだ。
 呪いという言葉が出て来た以上、ゲームを続ければ、与粋にどんな災いがあるかも知れない。
 本当に彼女の買いかぶりで、与粋の力では無理かも知れない。
 与粋は男を試される時が来たと思った。
 与粋の正直な気持ちとしては、
 怖い。
 逃げたい。
 忘れたい。
 助けを求めたい。
 聞かなかったことにしたい。
 等々、後ろ向きな気持ちが数多く脳裏に焼き付いて来ている。
 だけど、心のどこかで、自分の力を試して見たいという気持ちもあった。
 もしかしたら、どこかの物語のヒーローの様にヒロインを助ける王子様的な役割が出来るかも知れないという気持ちも。
 与粋は、
「じ、時間をくれないか?まだ、僕の考えがまとまってないっていうか、形になっていないっていうか――まだ、僕が思っていることが本当に形になるのかわからないんだ。だから、力になれるかどうかが、今は……」
 という言葉を絞り出した。
 今の与粋が発せられる最大限の勇気だった。
 唯愛は、
「――うん、待ってる。まだ、具現化してないから、無責任にうんと言わないっていう君の優しさにはちょっとキュンってなったかもね」
 と言った。
 違います。
 単純にまだ、自信が無かっただけですとは言えなかった。
 唯愛は、
「思いを形にする手助けは、私も出来るだけしようと思っているよ。改めて言うけど、【ちらかし】さんが使っていた二つの部屋を宇田君に提供するわ。自由に使ってもらってかまわない。両親とも眠り続けているから、今は私がこの家の主人だし、引っ越し費用も私の方で持つわ」
 と言った。