ある時期から、彼女には謎のささやき声が聞こえるようになった。
 それも一人じゃない。
 7人分だ。
 7人の知らない声が彼女に語りかけるようになっていた。
 幼い彼女はそれが妖精か何かだと思い込み、自身の想像力はさらに膨らんでいった。
 あるとき、それを両親に話して聞かせる。
 両親も喜ぶと思って話したのだ。
 だが、両親は喜ぶどころか青ざめて、
「良いかい、唯愛、その事は忘れなさい。そして、誰にも話しちゃダメだよ」
 と言って来た。
 夢見る少女、唯愛は、
「何故?何故なの?お父様?お母様?」
 と問い詰めたが話してくれなかった。
 だが、唯愛は諦められなかった。
 こんなにも楽しいことを共有出来る7つの声の事を忘れなきゃならないなんて、絶対間違っているとして、両親が隠している秘密を探ろうと両親の目を盗み、書斎にある本棚などを片っ端から探ったりしていた。
 それでも事実がわからず、困っていると、どこからか――新たにささやく声が――
 その声は今までの七つの声とは違っていたが、
「ここから出してくれたら事情を話してあげるよ」
 と言っていた。
 幼い彼女は、その新たな声が閉じ込められているという三面鏡を見つけて厳重にされていた封印を解き、開いた。
 そして出て来たのが【ディプミラ】だった。
 【ディプミラ】は様々な呪術や魔術などが寄り集まった集合体であり、両親はこの【ディプミラ】を鏡に閉じ込める事によって力を得、財を成したのだった。
 さらに、唯愛は【ディプミラ】の力を持った八つ子の一人として生まれてくるはずだったが、唯愛以外の七人の赤ん坊は母親のお腹の中で唯愛の体の中に吸収され、彼女は一人娘として誕生した。
 八人分の才能を持った天才児として。
 すべては、老後の安泰も考え、【ディプミラ】の力を利用して、両親がそう仕向けた事だった。
 解放された【ディプミラ】は唯愛の両親に復讐する。
 両親は【ディプミラ】によって、時を止められた。
 罰を受けた両親は眠り続ける運命となってしまったのだ。