02 趣味の世界


 与粋は家に帰宅する。
 ここからが彼のフィールドだ。
 妄想するために帰宅の挨拶もそこそこに自分の部屋に籠もり、妄想の準備をする。
 だが、与粋の部屋には思わぬ侵入者がいた。
 与粋は、
「い、今更……」
 とつぶやいた。
 今更 なの(いまさら なの)――与粋の姉である。
 何故、名字が違うのか?
 それは与粋の父親となのの母親が再婚し、義姉弟になったからである。
 なのも本来は宇田 なのなのだが、彼女は旧姓の【今更】を名乗って居る。
 なのもかなりの美人であると言える。
 そんな彼女と義理の姉弟として一つ同じ屋根の下に暮らす――一見幸せそうに見える。
 だが、実際は違っていた。
 価値観のまるで違う異性との同居など、生き地獄でしかなかった。
 実際に宝の山だと思っている与粋の部屋を前にして、
「さっさと片付けてって言ってるでしょ、このゴミの山。恥ずかしくって彼氏も友達も呼べないじゃない」
 と言ってきた。
 彼女が【ゴミの山】と言っている物こそが、与粋が【ちらかし】と築き上げてきた友情の証であり、彼の優れた妄想力の産物だった。
 ペーパークラフトと粘土――この二つは与粋は少し得意で、この二つを使って想像力を具現化させていたのだ。
 そんな宝を前にしてなのは【ゴミ】という。
 彼女は現実主義者。
 想像の世界など、守備範囲外なのだ。
 与粋は、
「で、出て行ってくれ。ここは僕の空間だ」
 と言った。
 なのは、
「言われなくても出て行くわよ、こんな豚小屋」
 と返した。
 ――と、このように姉弟の仲は最悪――とてもじゃないがウハウハな展開になる事など想像もつかないのだ。