与粋は、
「え、あ、よ、よろしく……」
 と言ったが、頭の中はパニックだった。
 唯愛以外にも女の子のサポートがつくと言われているのだが、展開について行けない。
 女の子とは一切無縁だった自分に一体、何が起きているのか理解するのに時間がかかっていた。
 ふと、唯愛の長い髪をまとめた三つ編みを見つめる。
 ――まるでラプンツェルとは言わないまでもかなり長い。
 与粋は、
「あ、あの……髪……」
 と思わず聞いてしまった。
 唯愛は、
「あ、これ?願掛けなんだ。小さい頃から伸ばしているんだけどね、手入れとか結構、大変なんだよ」
 と答えた。
 与粋は彼女の事が聞けてうれしかった。
 続けて、
「眼鏡……」
 と言った。
 唯愛は、
「また、片言……ちょっとは打ち解けて欲しいな。これでもフレンドリーに話しているつもりなんだけどな。――眼鏡ね、ご推察の通り伊達眼鏡だよ。眼鏡が無いと落ち着かなくてね、それでつけてるんだ。だから度は入ってないよ。私の事も話すけど、もう少し、君の事も話して欲しいな。【ちらかし】さんから君は凄い才能があるって聞いていたから凄く期待しているんだよ、これでも」
 と笑いかけた。
 あぁ……そんな、天使のほほえみを向けられるとクラって来てしまいそうだと思う与粋だった。
 それに凄いと言われても与粋には妄想劇場くらいしか話せるものがない。
 今までは同性の【ちからし】だったから話せていたのだ。
 異性で、しかもドストライクの好みの女性である唯愛の前でなど話せない。
 話して聞かせて引かれでもしたら、立ち直れないと思う与粋だった。
 唯愛は、
「じゃあ、時間だから、もう行くね私。私は月曜日から土曜日までしっかりサポートするからよろしくね。じゃあ、またね」
 と言って帰って行った。