03 クアンスティータ・パールとクアンスティータ・リバースパール


 カノン達は更に情報を収集する。
 すると、レマのエリアで行われているイベントで、【本日の福存(ふくそん)】と【本日の落存(らくそん)】というものがあるという事がわかって居る。
 これもミールクラームの代行者としての役目を持つレマの所有する宇宙世界ならではなのだが、ミールクラーム・ワールドから流れてくるものとして、【クアンスティータ・パール】と【クアンスティータ・リバースパール】の模造品というのがある。
 【クアンスティータ・パール】とは奇跡のクアンスティータと呼ばれるミールクラームの大きな特徴で、ミールクラームの涙は強力過ぎる奇跡を起こす結晶の事を言う。
 それとは反対に逆奇跡と呼ばれる不幸を与える結晶もあり、それを【クアンスティータ・リバースパール】と言う。
 【クアンスティータ・パール】を作り出す事が出来るミールクラームはそのため、あらゆる存在が最も欲しいとされる存在となっている。
 本物の【クアンスティータ・パール】と【クアンスティータ・リバースパール】を持ってくる訳には行かないが、レマ・ワールドではその模造品を作り出す技術が伝承されており、少量――と言っても1日あたり数百億セットほど作り出す事が出来るのだ。
 また、僅かながら、その中から1日あたり2、3粒ずつ、レマの巨大胸像を通して、レマ・ワールドからトルムドア・ワールドのレマのエリアに運び込まれるのだ。
 運び込まれた【クアンスティータ・パール】と【クアンスティータ・リバースパール】の模造品は【パール管理委員】と呼ばれる存在達によって宝箱にしまわれ、レマのエリアの各地にこっそりと運ばれ隠される。
 レマ・ワールドの住民達はこの宝箱を探し出す事に熱中する。
 模造品の隠された宝箱は最初に発見した者が所有者となる。
 例え、【クアンスティータ・リバースパール】の模造品だとしてもだ。
 模造品なので、効果が1日しか続かないし、奇跡と逆奇跡の度合いも低いという事もあり、気軽に宝探し感覚で広まっているらしい。
 そのため、【本日】とついているのだ。
 模造品の効果は宝箱を開けてからまる一日しか続かないようだ。
 【クアンスティータ・パール】の模造品を手にした者が【本日の福存】となり、【クアンスティータ・リバースパール】の模造品を手にした者が【本日の落存】となり、幸運か不幸がその日にわたって起きる事になる。
 住民達の感覚としては大ハズレもある宝くじの様なものの感覚でとらえているようだ。
 庶民の楽しみの一つと言ったところだろうか。
 ちなみに、【クアンスティータ・パール】の模造品は【パール・イミテーション】と呼ばれ、【クアンスティータ・リバースパール】の模造品は、【リバースパール・イミテーション】と呼ばれている。
 模造品とは言え、【パール・イミテーション】も【リバースパール・イミテーション】もまるで真珠のような宝石として、効果が切れた後も装飾品としても使える。
 女の子であるカノンや【ゆのあ】にとっても興味が無いとは言えなかった。
 恐らく、現界に効果の消えた【パール・イミテーション】や【リバースパール・イミテーション】を持って行ったら、かなりの金額で取引されるだろう。
 だが、カノンも【ゆのあ】も守銭奴ではない。
 女の子として着飾りたいという気持ちくらいしか無かった。
 奇跡を起こせる宝石――それを聞いただけで、胸が高鳴るカノン達だった。