カノンも【ゆのあ】も戦いを苦手としているが、決して弱い訳では無い。
 戦うつもりになれば、二人ともかなり強いと言える。
 だが、二人とも相手を傷つける事は好きでは無いのだ。
 戦わずに済むのであれば、そうしたい――それが彼女達の本心だ。
 戦わなければならない場合は、必要最小限で済ます。
 下手に躊躇(ちゅうちょ)すれば、かえって相手を傷つける事もある。
 だから、相手が戦意を喪失するギリギリまで攻める。
 その見極めが重要だった。
 痛めつけてしまった場合は、出来れば回復もする。
 それが、彼女達が選択した方法だ。
 ただ、それだけなのだ。

 カノンと【ゆのあ】は歌う。
 癒やしの歌を。
「「♪らーららららーらららーらー
 らーららら ららら ららら らら
 らーららら ららら ららら らら
 らーららら ららら ららら らら
 らーららら ららら ららら らら
 らーららら ららら ららら らら……♪」」
 二人の歌声がファムトゥの巨大胸像の周りの殺伐とした空気を和ませて行く。
 この歌には、【ティエン】と【ジィメン】への癒やしという目的もあるが、ファムトゥの巨大胸像に対しても戦いたいという気持ちを少しでも鎮めて欲しいという願いを込めた歌でもあった。
 ファムトゥの巨大胸像が用意した相手は一度倒した。
 後はファムトゥの巨大胸像がどう思うかだ。
 歌い終えたカノンと【ゆのあ】はそれぞれ、ファムトゥの巨大胸像の方に注目した。