09 カノン対【天位族】【ティエン】、【ゆのあ】対【地伏族】【ジィメン】


 カノン達はファムトゥの巨大胸像が見えるこの地点で、戦う事にした。
 カノンは【天位族】の【ティエン】と【ゆのあ】は【地伏族】の【ジィメン】と向かい合い、構えた。
 構えたのを確認した【ティエン】はまっすぐカノンに向かって来た。
 攻撃開始だ。
 【ティエン】は両腕に無数の小さな翼を持つ存在だ。
 その小さな翼は単独で動き、カノンに攻撃を仕掛ける。
 特別に凄いという力ではないが、その辺の絶対者アブソルーターあたりでは瞬殺されるようなレベルの攻撃力を持っている。
 対するカノンは女神御(めがみ)セラピアの力を解放させる。
 女神御セラピアは神御(かみ)の中でも七大主神に数えられるほどの女神御だ。
 クアンスティータを眠らせる歌を歌えるという事では有名な女神御でもある。
 だが、女神御セラピアの力はそれだけでは無い。
 七大主神が二柱いれば、化獣に対しても優勢に勝負を持ち込む事が出来るくらいの実力は持っている。
 ただし、化獣は化獣でも神話の時代に敗れた2、3、4、5、6、8、9番の化獣についてでの意味ではあるが。
 1番の化獣ティアグラと7番の化獣ルフォスは共倒れになっていたし、10番の化獣ティルウムス以降は神話の時代には生まれて居ないからだ。
 実際に戦ったという意味での分析だ。
 カノンは【シンガーファイター】としての経験も活かし、【奉崇歌(ほうすうか)】で自身の力を上げた上で、【フォース・ハグ】という力を使った。
 これはカノンがまとう特殊な気で相手を包み込むと言うものだ。
 本来は相手に改心を促すものだが、【天罰】を与えるという意味でも使う事が出来る。
 カノンから放出される【フォース・ハグ】に取り込まれると【ティエン】が放った無数の小さな翼は次々と落ちていった。
 カノンは気のコントロールをして、さらに【フォース・ハグ】の範囲を広げ、あっという間に【ティエン】本体も取り込む。
 【フォース・ハグ】としての特徴は天罰用として複数の能力を付与する事が出来る。
 カノンは複数の能力付与効果を持って【ティエン】を瞬殺した。
 いざ、戦うという事になったら、彼女は力を試し出し惜しみする様な事はしない。
 すぐにでも決着をつける。
 それは、長く戦っていたらそれだけ、相手を傷つけると思っているからだ。
 言ってみればそれが彼女の優しさでもある。
 決着をつけなくてはならない時は全力を持って、それ以上傷つかない様に配慮して、瞬殺(と言っても殺す訳では無く、気を失わせるなどの行為をとるという意味)する。
 それが余計に傷つけない最良の道だと思っているからだ。
 倒したのを確認した後で、すかさず、カノンは癒やしの歌を歌い、対戦相手だった【ティエン】を回復させる。
 【ティエン】には恨みも何もない。
 【ティエン】の方もファムトゥの巨大胸像に言われて戦っただけだ。
 だったら傷つける理由は無い。
 本来であれば傷つけた事を謝罪したいカノンだったが、それは飲み込んで我慢した。
 このファムトゥのエリアでは戦いとは神聖なもの。
 それで詫びを入れるという事はその神聖さを侮辱する行為にもなると思ったからだ。
 カノンの考えは甘いと言われるかも知れない。
 だが、これが彼女のやり方なのだ。
 後はこの行為をファムトゥの巨大胸像はどう判断するかだ。