カノンはひたすら長い時間考えた。
 いろんな可能性を試しては失敗し、角度を変えて考えてまた失敗を繰り返した。
 時には気分を変えて歌ったり、踊ったりもした。
 いろんな人達と話し、新しい発想を吸収したりもした。
 これだと思う事があったら、実験して、形を試した。
 失敗。
 失敗。
 失敗。
 失敗の連続。
 これもだめ。
 あれも駄目。
 それもダメ。
 なかなか成功しない。
 それでも諦めない。
 という試行錯誤をひたすら続けて行った。
 そして、実際にはトルムドアの時間で2週間くらいだが、カノン本人の感覚的にはどれくらいかかったかわからなくなるほど考えて、一つの大きな発明をした。
 カノンが発明したのは、【保留液(ほりゅうえき)】と言う。
 これはこの液体を振りかけることによって、振り返られた物体がもしも壊れた時に、その物体の時を戻し文字通り【覆水盆に返らず】ではなく、【腹水盆に返す】状態を作るというものだ。
 この【保留液】は限定条件がつき、このファムトゥのエリアでしか効果がないという事と、対象となる無機物が80パーセント有機物が65パーセントの成功率という不完全なものだが、彼女が参加した大会で優勝をもぎ取るくらいの【発明】にはなった。
 それを見ていた【ゆのあ】は、
「カノンさん、本当に凄いね、あなた……」
 とあっけにとられていた。
 余りにも凄い発明だったので驚いたのだ。
 カノンは、
「これは未完成で、ファムトゥのエリアの【三色世界】という条件の下で無ければ成功しないんだ。三色より数の多いの世界になってもダメだし、未満でもダメ。【三色世界】だけに通じるという限定的なものなんだけどね。このエリアを出たら全く意味の無いものになるわ」
 とやはり謙遜した。
 自分の発明に納得いっていないようだ。
 【ゆのあ】は、
「それでも凄いよ。普通、思いつかないもん、そんなの」
 と言った。
 カノンは、
「ありがとう。うれしいわ」
 とお礼を言った。
 ――と、ここまでは、カノンの得意分野でもあったので問題なく進んだ。
 これからは違う。
 このファムトゥのエリアではカノン達が苦手とする【バトル】の視点で見ていかなければならないのだ。
 ここからが正念場の一つと言えるだろう。
 カノン達は戦う事も覚悟して次に進むのだった。