02 カメレオン世界


 カノン達はファムトゥのエリアを進んでいた。
 まずは、お約束の情報収集からだ。
 このエリアの事を知らなければ話は進まない。
 戦いをふっかけられるのではないかと内心ビクビクしながらカノン達はコンサートを開いたり、発明品などを売りながらファムトゥのエリアの人々に接触を試みる。
 会う人、会う人、勝負を挑まれるかと少し警戒していたが、そんな事はなく、一般人は普通だった。
 だが、エリアは普通ではなかった。
 住民達の話だと、このファムトゥのエリアは余所のエリアからは【カメレオン世界】と呼ばれているらしい。
 【カメレオン世界】とはどういう事なのか?
 それは別名【三色世界(さんしょくせかい)】とも呼ばれ、このエリアは全く同じ位相空間(いそうくうかん)に3つの視点座標(してんざひょう)があるというのだ。
 どういう事かと言えば、全く同じ場所に居ながらある視点ではA氏が別の視点ではB氏がさらに別の視点ではC氏が存在することもある。
 それらの存在は現界で言えば表歴史と裏歴史の関係のように接点がない。
 視点を変える事によってA氏が出現したり、B氏が出現したり、C氏が出現したりするエリアなのだ。
 バトルが一般化しているこのエリアにおいてはそれを回避する方法の一つとして、位相空間の視点座標を変えるという方法がある。
 これを変える事によって、例えばA氏と戦いたくなかったら、B氏やC氏が見える視点座標に変えればA氏とは基本的に会うことはないというものだ。
 ファムトゥ・ワールドでは、【七色世界(ななしょくせかい)】と呼ばれ、位相空間の視点座標は七つ存在する。
 ファムトゥのエリアはその小型版なので【三色世界】の3つの視点という形を取っているのだ。
 一見、関係ない事にも思えるが、考えようによっては、苦手な対戦相手との戦いを避ける方法としては有効であると言えるだろう。
 この視点変更はファムトゥのエリアに入ればほとんどの存在が感覚的に出来るらしい。
 試しに、カノンと【ゆのあ】は視点を変えてみた。
 すると、カノンと【ゆのあ】の姿はお互いが出たり消えたりした。
 三色なので、【赤色世界】、【青色世界】、【黄色世界】で区別されていて、カノン達が入った時は【赤色世界】だった。
 カノンと【ゆのあ】の姿が消えたりしたのは、【赤色世界】だった場合、相手が【青色世界】か【黄色世界】に視点変更したり、【青色世界】だった場合、相手が【赤色世界】か【黄色世界】に視点変更したり、【黄色世界】だった場合、相手が【赤色世界】か【青色世界】に視点変更していたという事である。