カノンは考える。
 サイコネットの通信で聞いていた、吟侍が風の惑星ウェントスで仲間とした絶対者アブソルーターの九頭大蛇(くずおろち)の事を思いついた。
 九頭大蛇は元々、惑星ウェントスで生け贄を食らっていた不死身の存在だったが、吟侍のウィークポイントレシピにより、弱点属性を合成され倒された。
 殺しはしなかったが、そのまま放置しておけば、また、人を襲うと判断した吟侍はルフォス・ワールドに取り込み、そこを管理していた全能者(ぜんのうしゃ)オムニーアのウィンディスの手により、核と合成して、新たに九頭龍獣(くずりゅうじゅう)として生まれ変わったという話を聞いていた。
 つまり、混ぜ合わせるのは核だけじゃなくても良いのではないか?という事だ。
 しかし、それはウィンディスの力があってこそ、初めて出来る事かも知れない。
 カノンが出来るという保証はないのだ。
 可能性があるだけ。
 だが、可能性があるという事は試すだけの理由となる。
 根気よくやるのには慣れている。
 カノンはすでにクリーチャーになっている生き物の中から、これだというクリーチャーをチョイスし、それと核を融合させて新たなクリーチャーを生み出して見るという方法を【酪農家】に提案した。
 いくらカノンが思いついても【酪農家】がオッケーを出さなければこれは出来ない。
 【酪農家】の返事はカノン達が演奏会を開いてくれるのなら何でも一匹、提供するとの事だった。
 カノンは早速、【オーケストラコーラスダンサロイド アリア】、【オーケストラコーラスダンサロイド オペレッタ】、【オーケストラコーラスダンサロイド リート】、【ミューズ・アニマル ピア】、【クァノン】と共にコンサートを開いた。
 本当はカノンだけでリサイタル(独演会)をするつもりだったが、どうせなら、新生【アインマール】としてやろうという事になった。
 なので今回、【ゆのあ】はお休みだ。
 【まめぽん】と共に酪農家達とカノン達のコンサートを楽しんだ。
 コンサートの曲数は全部で、30曲だった。
 お願いするための取引とは言え、演奏を頼まれればプロとして本気でやらねばならない。
 決して手を抜く訳には行かないのだ。
 いつでも全力投球。
 それがカノンの持ち味だ。
 カノン達の熱唱に【酪農家】達は感動し、
「いくらでも持って行ってくれ」
 と言っていたが、カノンは、
「お気持ちだけ――じゃあ、この子だけいただいていきますね」
 と一匹のクリーチャーを選択し、もらい受けた。
 預かったクリーチャーの名前は【もへらへ】というらしい。