03 似面(じめん)鑑賞


 カノン達はある程度、情報を集めたので、まずは、住民達に聞いた、【似面】を見てみる事にした。
 【似面】は【能】や【狂言】、【歌舞伎】等に近い芸術という事だから大変興味が沸いていた。
 【似面】となる面はソリイントゥスのエリアでの有名な存在に似せて作っている。
 つまり、この【似面】を鑑賞するとこのソリイントゥスのエリアの事が大まかにわかる可能性があるのだ。
 これは好都合と言えた。
 早速、カノン達はチケットを入手した。
 【似面】と一口に言っても様々あり、どれから見れば検討もつかなかったが、親しくなった住民達から勧められた講演を見る事になった。
 演目は【巨匠】――
 十三大画伯の一人、【ソントク】が【巨匠】と呼ばれるまでになったストーリーを表現するものらしい。
 【ソントク】は元々、売れないただの絵描きだった。
 そんな【ソントク】はある時、道ばたで食べ物をもらい、そのお礼にと絵を描いた。
 その絵を見た通りすがりの大金持ちがこれを売ってくれとせがむが、【ソントク】はこれは食べ物をくれた人に対して描いたものだから売れないと言った。
 どうしても欲しければ、【ソントク】がプレゼントした人から譲り受けて欲しいと言った。
 そのかたくなな態度が受けて、次から次へと絵の仕事が舞い込んでくるというシンデレラストーリーだ。
 どんな立場になろうともその姿勢は決して崩さないという【ソントク】の人気はうなぎ登りに上がっていったというストーリーを描いている。
 ソリイントゥスのエリアの住民にとっての人気作となっている。
 見てみると、カノンが故郷で見た光景と大差ない光景だった。
 それを見て確信する。
 クアンスティータは恐ろしい存在ではない。
 カノン達と同じようにものを考え、同じように感情を抱く存在だ。
 だから、話せばわかるはずだと思った。
 ソリイントゥスのエリアはそのまま、ソリイントゥスの気配、顔も感じる事になる。
 そんな事を考えながらの鑑賞だった。
 終了後、演者との記念撮影などにも参加させてもらい、グッズなども買った。
 娯楽としては至れり尽くせりというところだろう。
 カノンもまさか、友人の救出活動に来て、こんな体験が出来るとは夢にも思っていなかった。