もちろん、交渉事はカノンだけでは無い。
 裏歴史から来ている【ゆのあ】にとっても話す事はあるだろう。
 だから、【ゆのあ】と譲り合いながら側体達と会話していく事になる。
 カノンが交渉している時には邪魔をして欲しくはないが、【ゆのあ】が交渉している時は逆に邪魔にならないようにしなくてはならない。
 それが、表と裏の歴史から選ばれて来た二人に共通するマナーだった。
 トルムドアにとってはカノンは母親の様な立場、【ゆのあ】は友達の様な立場となっている。
 親目線と友達目線――
 そこはそれなりに変わってくる。
 楽しかった事。
 辛かった事。
 悲しかった事。
 怒った事。
 そんな日常的な会話をしながら、カノンと【ゆのあ】はそれぞれの立場で要所要所では必要な情報を聞き出していった。
 出発時には決められなかったカノンへの手土産も用意して渡してくれた。
 どうやら、小さな箱のようだ。
 箱を開けてみると、更に小さな包み紙に包まれた四角いものが16個入っていた。
 印象からするとキャラメルか何かの用にも見える。
 なんなんのかはよくわからない。
 トルムドアが言うには、
 【お守り】との事だったが。
 それは追々わかって来るだろう。
 また、知りたいことは山ほどあったが、トルムドアの機嫌を損ねない様に注意しながら情報を引き出していった。
 カノンも【ゆのあ】もトルムドアの好感は得ている。
 問題は無い。
 問題とするのは次からだ。
 次からは未知の領域となる。
 次からは勝手知ったるトルムドア・ワールドという訳には行かないのだ。
 次は、第二側体クアンスティータ・ソリイントゥスの所有する宇宙世界、ソリイントゥス・ワールドのミニチュアバージョンとなるエリアを旅しなくてはならない。
 一応はトルムドア・ワールド内に位置しているとは言え、そのエリアの状態はトルムドア・ワールドと大きく異なる。
 トルムドアにはソリイントゥス・ワールドのミニチュアエリアに移る前に、どのような世界観のエリアか聞き出したかった。