03 トルムドア・ワールドにて……
ユリシーズ達がオリウァンコとの戦いを残すのみとなった時もカノンはその状況を知らなかった。
カノンはまた、別の宇宙世界であるトルムドア・ワールドで別の行動を取ろうとしていたからだ。
トルムドア・ワールドには側体達とコンタクトを取れるポイントが24カ所ある。
それは側体の数と同じだ。
だが、機能しているのはその内の17カ所だ。
他の7カ所は第18側体から第24側体までが出現するまで機能しない。
カノンは機能している17カ所のポイントを回る事にした。
その内、1カ所はトルムドアとのコンタクトポイントなのだが、他の側体と条件を合わせる意味でもあえて回る事にした。
トルムドアにはメインストリートエリアに残ってもらって、カノンがトルムドアとのコンタクトポイントにたどり着くのを待ってもらう事にした。
トルムドアは、
「やだやだやだぁ~私も行くぅ~」
と駄々をこねたが、カノンとしては他の側体とのコンタクトを練習する意味でもまずは、トルムドアとのコンタクトポイントでトルムドアと話したいと思っている。
なので、ついてきてもらったら練習にならないのだ。
また、トルムドアを従えての他の側体との交渉はどんなマイナスポイントになるか解らない。
トルムドアと敵対している可能性だってあるのだから。
だからこそ、トルムドアにはお留守番をしていて貰いたいのだが、ぐずったので、少しの間、トルムドアの好きな所を周り、それで、しばらく待って貰おうと思った。
トルムドアはあんまり納得していなかったようだが、大好きな【カノンママ】のためだからという事で渋々、了承するのだった。
とりあえず、出発を決めたトルムドア・ワールドの基準時間での2週間後までにトルムドアをある程度満足させなければならない。
カノンの事が好きで好きでたまらなくてトルムドア・ワールドに連れてきたトルムドアに対してついて来るなというのは酷な話ではあるが、カノンとしては全ての側体と仲良くしたいと思っている。
トルムドアだけにかまっている事は出来ないのだ。
カノンとしてもトルムドアと離れるのは寂しいし、不安でもあるが、それは涙を飲んで、お互いが我慢しようという事になった。
2週間後には離ればなれになってしまうという事になって、トルムドアは必死でカノンとの思い出を作ろうと思った。
そのため、出発前の2週間のスケジュールはびっしり埋まっていた。
カノンとしては、疲れを残したくないというのが本音だったのだが、もてなそうとするトルムドアの態度にそれは困るとは言えなかった。
ただ、大切に思ってくれているという事を受け止め、トルムドアのサプライズにありがたい気持ちで付き合うのだった。
最初の三日間はパーティーだった。
王族でもあるカノンにとってパーティーというのは珍しい事ではないが、王族では無く強者が開くパーティーというのは初めての参加だった。
招待客はカノンなど瞬殺出来る力を有した存在が殆どだ。
みんな、現界にくれば、間違いなく、勢力図を書き換えるようなとんでもない力を持った者達だ。
その強者達がカノンに対して、心から頭を垂れている。
それはトルムドアによる絶対統制がしっかりしているという事の証明でもある。
カノンに頭を下げているのは言ってみればカノンを通してトルムドアに頭を下げているという事でもある。
カノンは、
「頭を上げてください。私はそういうつもりはありません。パーティーなんですから皆さん、楽しく過ごしましょう」
と言ったが、招待客達は一斉にトルムドアを見た。
いくらカノンが許可してもトルムドアが許可しなければ羽目など外せない。
トルムドアは、
「カノンママの言うとおり。楽しくなきゃパーティーじゃないよ。みんな、今日はぶれーこーってやつだよ。さぁ、楽しもう」
と言った。
その言葉を切っ掛けに、招待客達は、騒ぎ出した。
このパーティーは楽しくがルール。
楽しまなくてはルール違反。
だから、招待客達も楽しむ。
だが、心からは楽しめていない――それはトルムドアが怖いからだ。
羽目を外しすぎてトルムドアの機嫌を損ねるのは命取りとなる。
カノンが制止するだろうからそれはないとは解っていても、やはり怖いのだ。
そんな微妙な緊張感はカノンも感じていた。
これは本当の意味でのパーティーじゃない。
楽しいと思っているのはトルムドアだけ。
他の招待客達の心も感じるからカノンも楽しめていない。
ここは、自分が前に出て楽しませなくては――カノンはそう思った。
元々、惑星アクアでも歌優(かゆう)として、みんなを楽しませる事を優先させて来た旅をしてきたのだ。
このトルムドア・ワールドでも同じ事をすれば良い。
いや、ガチガチにトルムドアに対する恐怖を感じている招待客を楽しませるにはもっと頑張らなくてはならないと思った。
カノンは自身の身体に秘める女神御(めがみ)セラピアの力を使って、簡単な人形をいくつか作り出した。
そして、カノンは、
「さぁさぁ、お客様、ご注目ください。私はカノン・アナリーゼ・メロディアスと申します。これから、ご挨拶も兼ねて、人形劇をさせていただきます。人形劇というのは人形という人を模したものを使って、物語を表現する事です。今回、披露するのは私の出身の星で伝わっている童話の一つで……」
という様に、説明を始めた。
招待客の強者達とは恐らく考え方自体が人間のものとは全く異なっているのだろう。
だったら、人間はどういうものを考えどのような行動をとっていくのか教えようとカノンは思った。
人形劇はそれをディフォルメしたものになる。
カノンの一人人形劇が始まった。
招待客はトルムドアが怖いからみんな、見る。
正直、全く興味ないのではあるのだが。
ユリシーズ達がオリウァンコとの戦いを残すのみとなった時もカノンはその状況を知らなかった。
カノンはまた、別の宇宙世界であるトルムドア・ワールドで別の行動を取ろうとしていたからだ。
トルムドア・ワールドには側体達とコンタクトを取れるポイントが24カ所ある。
それは側体の数と同じだ。
だが、機能しているのはその内の17カ所だ。
他の7カ所は第18側体から第24側体までが出現するまで機能しない。
カノンは機能している17カ所のポイントを回る事にした。
その内、1カ所はトルムドアとのコンタクトポイントなのだが、他の側体と条件を合わせる意味でもあえて回る事にした。
トルムドアにはメインストリートエリアに残ってもらって、カノンがトルムドアとのコンタクトポイントにたどり着くのを待ってもらう事にした。
トルムドアは、
「やだやだやだぁ~私も行くぅ~」
と駄々をこねたが、カノンとしては他の側体とのコンタクトを練習する意味でもまずは、トルムドアとのコンタクトポイントでトルムドアと話したいと思っている。
なので、ついてきてもらったら練習にならないのだ。
また、トルムドアを従えての他の側体との交渉はどんなマイナスポイントになるか解らない。
トルムドアと敵対している可能性だってあるのだから。
だからこそ、トルムドアにはお留守番をしていて貰いたいのだが、ぐずったので、少しの間、トルムドアの好きな所を周り、それで、しばらく待って貰おうと思った。
トルムドアはあんまり納得していなかったようだが、大好きな【カノンママ】のためだからという事で渋々、了承するのだった。
とりあえず、出発を決めたトルムドア・ワールドの基準時間での2週間後までにトルムドアをある程度満足させなければならない。
カノンの事が好きで好きでたまらなくてトルムドア・ワールドに連れてきたトルムドアに対してついて来るなというのは酷な話ではあるが、カノンとしては全ての側体と仲良くしたいと思っている。
トルムドアだけにかまっている事は出来ないのだ。
カノンとしてもトルムドアと離れるのは寂しいし、不安でもあるが、それは涙を飲んで、お互いが我慢しようという事になった。
2週間後には離ればなれになってしまうという事になって、トルムドアは必死でカノンとの思い出を作ろうと思った。
そのため、出発前の2週間のスケジュールはびっしり埋まっていた。
カノンとしては、疲れを残したくないというのが本音だったのだが、もてなそうとするトルムドアの態度にそれは困るとは言えなかった。
ただ、大切に思ってくれているという事を受け止め、トルムドアのサプライズにありがたい気持ちで付き合うのだった。
最初の三日間はパーティーだった。
王族でもあるカノンにとってパーティーというのは珍しい事ではないが、王族では無く強者が開くパーティーというのは初めての参加だった。
招待客はカノンなど瞬殺出来る力を有した存在が殆どだ。
みんな、現界にくれば、間違いなく、勢力図を書き換えるようなとんでもない力を持った者達だ。
その強者達がカノンに対して、心から頭を垂れている。
それはトルムドアによる絶対統制がしっかりしているという事の証明でもある。
カノンに頭を下げているのは言ってみればカノンを通してトルムドアに頭を下げているという事でもある。
カノンは、
「頭を上げてください。私はそういうつもりはありません。パーティーなんですから皆さん、楽しく過ごしましょう」
と言ったが、招待客達は一斉にトルムドアを見た。
いくらカノンが許可してもトルムドアが許可しなければ羽目など外せない。
トルムドアは、
「カノンママの言うとおり。楽しくなきゃパーティーじゃないよ。みんな、今日はぶれーこーってやつだよ。さぁ、楽しもう」
と言った。
その言葉を切っ掛けに、招待客達は、騒ぎ出した。
このパーティーは楽しくがルール。
楽しまなくてはルール違反。
だから、招待客達も楽しむ。
だが、心からは楽しめていない――それはトルムドアが怖いからだ。
羽目を外しすぎてトルムドアの機嫌を損ねるのは命取りとなる。
カノンが制止するだろうからそれはないとは解っていても、やはり怖いのだ。
そんな微妙な緊張感はカノンも感じていた。
これは本当の意味でのパーティーじゃない。
楽しいと思っているのはトルムドアだけ。
他の招待客達の心も感じるからカノンも楽しめていない。
ここは、自分が前に出て楽しませなくては――カノンはそう思った。
元々、惑星アクアでも歌優(かゆう)として、みんなを楽しませる事を優先させて来た旅をしてきたのだ。
このトルムドア・ワールドでも同じ事をすれば良い。
いや、ガチガチにトルムドアに対する恐怖を感じている招待客を楽しませるにはもっと頑張らなくてはならないと思った。
カノンは自身の身体に秘める女神御(めがみ)セラピアの力を使って、簡単な人形をいくつか作り出した。
そして、カノンは、
「さぁさぁ、お客様、ご注目ください。私はカノン・アナリーゼ・メロディアスと申します。これから、ご挨拶も兼ねて、人形劇をさせていただきます。人形劇というのは人形という人を模したものを使って、物語を表現する事です。今回、披露するのは私の出身の星で伝わっている童話の一つで……」
という様に、説明を始めた。
招待客の強者達とは恐らく考え方自体が人間のものとは全く異なっているのだろう。
だったら、人間はどういうものを考えどのような行動をとっていくのか教えようとカノンは思った。
人形劇はそれをディフォルメしたものになる。
カノンの一人人形劇が始まった。
招待客はトルムドアが怖いからみんな、見る。
正直、全く興味ないのではあるのだが。