するとトルムドアは元々、カノンの生体データを他のクアンスティータに送っていた関係で、全ての側体とアクセスする事が出来るという事を言っていたが、
「危ないよぉ~カノンママ」
 と心配した。
 トルムドアが言うには、このトルムドア・ワールドに各側体クアンスティータとアクセス出来るポイントがそれぞれ点在するらしいが、それはトルムドアにとっても管轄外となっているらしい。
 トルムドア・ワールドがカノンにとって安全なのは、それはトルムドアの目が届いているからだ。
 メインストリートから外れると所有者であるトルムドアの目も届かなくなる。
 カノンにとって危険な存在が現れないとも限らない事を心配しているのだ。
 だが、他の宇宙世界に行かずともこのトルムドア・ワールドの中で全ての側体とコンタクトが取れるというのであれば、カノンにとっては都合が良いという事でもある。
 カノンとしても退くわけには行かない事だった。
 カノンは次の目標が決まった。

 また、カノンはトルムドアとの会話から、クアンスティータは宇宙という単位では収まりきらない存在だという事も知った。
 トルムドアにとっては雑談のつもりで話しているのだが、カノン独自の測定法で聞いてみると、クアンスティータの所有する宇宙世界はどれも他の宇宙世界よりも遙かに大きい事が解った。
 だが、そのクアンスティータの宇宙世界もそれぞれのクアンスティータにとっては自分の部屋の様な物の感覚で捉えていた。
 つまり、クアンスティータの所有する宇宙世界よりも大きな単位が存在するという事でもあった。
 世界他外(せかいたがい)――無限にあった宇宙を包み込むもっと大きな単位をそう呼んでいた。
 さらにその上の単位も存在し、それを偉唯位場(いゆいば)と呼び、その更に上を何抜違至(かぬいし)と呼び、クアンスティータはそれぞれ24ずつ所有しているというのだ。
 クアンスティータと関わると更に上の表現がどんどん顔を出してくる――これはその内の一つと言えた。
 発想が、宇宙など、遙かに大きく飛び越えてしまっている。
 トルムドアに聞かなければ、人間の知識では決してたどり着かない領域と言えた。
 クアンスティータは思っていたよりも更に奥深い存在で有ることを再確認した。
 化獣(ばけもの)と言えば恋人である芦柄 吟侍(あしがら ぎんじ)の心臓にもなっている7番の化獣ルフォスやカノンにストーカーをしていた8番の化獣オリウァンコなどを知っているが、明らかに別格どころか全くの別の存在と言える化獣であると言う感じがした。
 トルムドアはただの世間話をするかの様に話しているのだが、話している内容が飛び抜けすぎていて、カノンの想像力を遙かに上回っていた。

 そんな、トルムドアが支配するトルムドア・ワールドでの冒険はまだ始まったばかりだった。