09 おいら、まめぽん


 七英雄達がオリウァンコとの最終決戦を間近にしていた頃もカノンは彼らが自分の偽者、ダミーカノンを救い出すために戦っているという事を知らなかった。
 カノンと七英雄達の間に流れている時間は全く別のものとなっている。
 カノンの方は、第一側体クアンスティータ・トルムドア達に案内された【あそこ】と呼んでいた神殿の様な場所で、カノンの生体データを元に作られた半分データ、半分生身の存在、【クァノン】を作ってもらってプレゼントされていた。
 【クァノン】はカノンの可能性を更に引き延ばす存在と言えた。
 とりあえず、最初の目的である【あそこ】には案内されたので、次に何をするかという事になる。
 カノンとしては、七英雄達やシアンやパスト達がどうしているのかがまず気になるところではある。
 カノンが突然、居なくなったので、心配して探しているのではないかと思っていたが、それは代わりを置いて来たと説明されたので、とりあえずは安心した。
 その身代わりがどんな行動をするのか気にならないではないが、カノンそっくりだという事で少し安心したのだ。
 少なくともカノンが居なくなって不安に思うという事が無かっただけでも、それは良いことだと判断したからだ。
 このトルムドア・ワールドでの次の行動を考えていると、(クアンスティータ・)トルムドアが、
「じゃぁ~ん、これ、なぁんだ?」
 とあるものを見せてきた。
 カノンは、
「そ、それは……」
 と言った。
 彼女には心当たりがあったアイテムだったからだ。
 それは、まめぽんのぬいぐるみだ。
 冒険に出る前に吟侍にプレゼントされたぬいぐるみだった。
 カノンの双子の姉、ソナタはセンスが悪いと言っていたが、カノンにとっては吟侍にプレゼントされた大事な物だった。
 冒険当初は、不安で、吟侍を思って、そのぬいぐるみと一緒に寝ていたが、ある時、突然、無くなったのだ。
 どこに行ったのかと思って必死に探したのだが、ついに見つからなかったものだ。
 まめぽんのぬいぐるみは思い人とをつなぐアイテムで、無くなった時、思い人との運命の糸をたぐり寄せるために働いているという与太話を吟侍からされていたので、カノンはそれを信じて、吟侍に思いを届けてくれているとして、探すのを諦めたのだ。
 それがどういう訳かトルムドアが持っていた。
 トルムドアは、
「可愛いので、クアンスティータ公式キャラクターにしちゃいましたぁ」
 とにっこり笑って言った。