秘奥曲歌以外にも次々と新情報をただの雑談から得られているので、カノンにとっては決して無駄な時間とは言えなかった。
 クアンスティータを理解していく上では避けては通れない事の一つととらえていた。
 なので、積極的にトルムドアや美架に聞いては見たものの、あんまり、この二名が気前よくポンポン話すものだから、カノン自身も整理仕切れなくなっていった。
 それだけ、膨大な情報を得られたという事になる。
 それだけ、得てもまだまだ、クアンスティータには隠された秘密が存在し、きりがないようにも思えた。
 正に、クアンスティータは途方もない【量】を司る存在と言えた。
 話も弾みに弾んだので、ゆっくり進んでいた道案内も気づいたら目的地の少し手前まで来ていた。
 美架は、
「もう少しだよ」
 とカノンに言った。
 カノンはいよいよねと思った。
 情報収集はそこまでと区切って、今度はどんな事が来ても冷静に対処できるように心構えをする事にした。

 そして、目的地である、【あそこ】に着く。
 【あそこ】とは、まるで、神殿のような場所だった。
 正確には、このトルムドア・ワールドに居る存在が作り出される場所の一つであるらしい。
 トルムドアは着いて早々、女性の係員のような者に何やら話しかけていた。
 時折、カノンの方を向いて彼女を指さしたりしていたが、何を話しているのか見当がつかなかった。
 係員はカノンの方をチラッと見やると、そのまま、奥に向かっていった。
 トルムドアは、
「さぁさぁ、カノンママ、私からのプレゼントだよ。受け取ってくれると嬉しいな」
 と言った。
 プレゼントと言われても何のことだか、さっぱり解らない。
 カノンは、
「あの……トルムドアちゃん、もう少し、詳しく話してくれると……」
 と聞こうとした時、背後の大がかりな機械のようなものがガタンと動き出し、その場所――バースエリアが起動した。
 パイプオルガンでも出せないような荘厳な音楽が鳴り響く。
 何やら複雑な仕掛けが起動して、電気の様なものがそこを縦横無尽に動き回っているのが、見て取れた。
 突然、大きなモニターが映し出され、そこには、カノンの顔や全身を映した映像が流れる。
 3Dで撮影したかのようにカノンの映像がくるくる回る。
 オーケストラでも聴かされているような音が鳴り響き、ビビビビビビ……と何かが実体化していくのが見えた。
 それは、まるで3Dプリンターで立像でも作るかのようにカノンを再現していく。
 その再現中に、トルムドアは、
「うーん……このままだったら面白くないか……ちょっと変えちゃえ」
 と言った。
 それに合わせるかのように、カノンの要素を持ちつつ、少し外れたデザインの姿に映像が切り替わる。
 その姿は、カノンに雰囲気が似ているが、随分長い三つ編みをしていた。
 足元まであるのではないかと思えるくらいだ。