初めは、怖い宇宙世界に来たと思っていた。
 全く知らない宇宙世界にただ一人、連れて来られて不安だらけだった。
 だが、自分にとって雲の上の雲の上の雲の上の……そのまた雲の上……といつまでも続きそうなくらい上過ぎる存在であるクアンスティータも話せば、よい子――そんな感じがした。
 研究者でもあるカノンにとって、自分を高めてくれる存在というのは大変、興味を惹かれるものだ。
 彼女は今まで、何年かはクアンスティータ学という学問を学んできて、新たなる発見を繰り返してきた。
 クアンスティータ学とはクアンスティータを学ぶ学問の事だ。
 クアンスティータを研究することにより、多くの発見もした。
 彼女はクアンスティータ学を通して、カノニウムという特別な金属を作り出した。
 カノニウムを使って、惑星アクアでの最初の交渉を成功させてきてもいるのだ。
 そう言った意味でもクアンスティータには大変、お世話になっていると言えるだろう。

 カノンは少し考える――
 このまま、現界(げんかい)に戻っても、今のままの彼女であれば、仲間達にとっては足手まといになる部分も多い。
 それよりは、今しばらく、このトルムドア・ワールドにとどまり、得られるものは何でも得てきて、成長してからの方が、パーティーにとっては良いだろうと判断した。
 現状としては、七英雄やシアンやパストなどの協力は無い。
 彼女達は現界に居るはずであるからだ。
 今、居る彼女の味方は彼女自身だけ。
 頼れるのは己の身、一つだけだ。
 トルムドアは好意的だが、何時、機嫌を損ねてカノンに敵意を持つか解らない。
 トルムドアに敵対視されたら、恐らく、そこで、カノンの旅は終わりを迎えるだろう。
 だから、敵対する訳にはいかない。
 生き残って戻るために行動しなくてはならない。
 今まで、カノンは人のために行動してきた。
 だが、今回は違う。
 カノンは自身を生かすために、行動しなくてはならない。
 死んでしまったら、そこで全てが終わりだ。
 人の思い出には残るかも知れないが、現実としての変化はそれ以降は無くなるという事を意味している。
 それは嫌だ。
 カノンはまだまだやり残した事があるからだ。
 こんなところで全てを終わりにしたくはない。
 なので、彼女は自分自身の戦いを始めるのだった。
 生き残るためには、トルムドアを中心とした、このトルムドア・ワールドの住民達との交渉をしていかねばならない。
 どんな結果も自分の行動次第となる。
 そのためには、どんな事でもやっていこうと誓うのだった。

 まずは、【奉崇歌】だ。
 この不思議な歌の力を会得する事がカノンの成長の第一歩だ。
 仲間達に、急成長した姿を見せて帰るために、彼女はたった一人での戦いを始めるのだった。
 カノンはトルムドアと美架と共に進み、【あそこ】を目指すのだった。


以上【02】。