カノンの目の前には他の宇宙世界では完全にラスボスクラス、もしくはそれ以上の存在が山ほど現れる。
見渡す限りの強者の群れにカノンは思わず圧倒される。
同じ場で立っているだけで、威圧で気を失ってしまいそうだ。
トルムドア・ワールドに居るアナザーオムニーアはもちろん、冨吉だけではない。
他にも無数存在する。
その無数のアナザーオムニーアが一斉に、これほどの強者達を作り出すことを考えると恐ろしかった。
この宇宙世界の勢力と他の宇宙世界の勢力がまともにぶつかったら、他の宇宙世界の存在など、一溜まりもなく消される。
全く勝負にならない。
あっという間に蹂躙されるだろう。
どんなに優れた勇者がラスボスを倒しても、それが絶えず、際限無く新たなラスボスが現れたら勝ち目など微塵もない。
どんな優れた集団もこの圧倒的戦力の前では手の打ちようがない。
それだけの存在感をカノンが紹介された強者達は醸し出していた。
ゼルトザームが可愛く見える程だ。
たったこれだけの紹介で、カノンはクアンスティータという存在の底なしさ加減をかいま見た。
だが、それでも、このトルムドア・ワールドからしてみれば、極一部を紹介しただけに過ぎないのだ。
さらにその宇宙世界が24もクアンスティータは持っている。
どれだけ、理解するのにかかるのか、カノンは見当もつかなかった。
「富吉さん、あれ持ってきてぇ~」
トルムドアは冨吉に合図する。
すると、冨吉は光の塊を出現させる。
その光はスライムのようにぷにょぷにょした感じがする。
「何……?」
カノンはその光に目を向ける。
すると、その光はふよふよと形を変えて行き、女の子の様な姿になった。
「これはねぇ~冨吉さんの理想の女の子だよぉ~。普通は出来ないんだけど、冨吉さんは全能者オムニーアだからこっちでも作れるんだよぉ~」
こっちとは、トルムドア・ワールドの現実世界の事を指す。
普段はトルムドア・ワールドの夢世界でのみ存在する女の子を出したのだという事を言いたいのだ。
驚いているカノンの反応を見て、トルムドアは喜ぶ。
トルムドアの反応は子供がお絵かきをして、それを母親に見せるようなものだった。
ねぇ、すごいでしょ、と言って、すごいすごいという反応を期待しているのだ。
言葉に出さなくてもカノンの反応を見ればそれがすごいと思っている事は明白だったので、喜んだのだ。
冨吉が出した女の子は、
「私、聖依 美架(きよい みか)よろしくね」
と言った。
ちゃんと名前もあれば、自我もある。
作り物とは違う生命力のある感じがした。
トルムドアは、
「じゃあ、美架ちゃんも一緒にカノンママを案内しよぉ~」
と言った。
冨吉は、
「トルムドア様、では、あっしは、そろそろ……」
と言った。
「うん、ありがとう。お仕事、頑張ってねぇ~」
「へい、失礼しやす……」
どうやら、何かを作り出している途中で呼び止めていたらしい。
冨吉はどこかに去り、その場には、カノンとクアンスティータ・トルムドア、聖依 美架の三名が残った。
「じゃあさぁ~どこ行こっか?」
トルムドアは友達と遊びに行く相談をするかのような感覚で、カノンと美架に話しかける。
「トルムドア様、あそこはどうですかね?」
と美架。
「あそこか~、良いね、あそこ行こう」
と返すトルムドア。
【あそこ】では、カノンだけがそこが何を意味しているのか解らない。
ここは、トルムドアの支配するトルムドア・ワールドだからこそ、そこに存在する美架の気持ちは、答えを聞かずとも何が言いたいのか解るのだろう。
カノンは、虎穴に入らずんば虎児を得ず――
とりあえず、トルムドアと行動を共にして、このトルムドア・ワールドがどのようなところなのかをさぐる事にした。
元の世界に残して来たユリシーズ達が心配じゃないと言えば嘘になる。
だが、心配してもこの状況は変えられない。
今できるベストを尽くしてカノンは事態を好転させようと思うのだった。
トルムドアの言った、クアンスティータの所有する全ての宇宙世界の基本になる宇宙世界がこのトルムドア・ワールドであるのであれば、このトルムドア・ワールドを理解する事がクアンスティータの所有する宇宙世界を理解する第一歩となるのではないかとカノンは考えている。
トルムドアは、どうやら、カノンに何かをやらせたいらしいという事は解っている。
解っている事はそれくらいだ。
解らない事は山ほどあるトルムドア・ワールド――
千里の道もまず、一歩から。
前に進み出ないと何も変わらない。
カノンは最初の第一歩を踏み出すのだった。
カノンそっくりな容姿を持ち、まるで、カノンの無邪気な部分を強調したかのような性格を持っているクアンスティータ・トルムドア。
今まで、彼女のサポートをしてきてくれたユリシーズ達は今は居ない。
別の宇宙世界で、カノンとは別の時空で何かをしている。
ユリシーズ達は自分が居なくてもちゃんと人命救助をやってくれるだろうか?
シアンやパストと喧嘩しないだろうか?
絶対者アブソルーター達はどうなっているのだろうか?
クアースリータ誕生時に一応和解した形にはなったが、彼ら彼女らが、ユリシーズ達とまた、もめないとも限らない。
そういう面で心配していたが、今は何をやってもそれは届きそうもない。
絶対的な力を持つ、クアンスティータの宇宙世界に囲われてしまったのだから。
今は生き残る事。
それが、明日の希望に繋がる。
カノンは恋人、吟侍からそれを教わっている。
生きている限り、希望はある。
何も見えなくてもいつかは見えるようになる。
その事を最愛の恋人の背中を通して、ずっと見てきたのだ。
カノンは吟侍を信じ、トルムドア・ワールドを生き抜く事を誓うのだった。
以上【01】
見渡す限りの強者の群れにカノンは思わず圧倒される。
同じ場で立っているだけで、威圧で気を失ってしまいそうだ。
トルムドア・ワールドに居るアナザーオムニーアはもちろん、冨吉だけではない。
他にも無数存在する。
その無数のアナザーオムニーアが一斉に、これほどの強者達を作り出すことを考えると恐ろしかった。
この宇宙世界の勢力と他の宇宙世界の勢力がまともにぶつかったら、他の宇宙世界の存在など、一溜まりもなく消される。
全く勝負にならない。
あっという間に蹂躙されるだろう。
どんなに優れた勇者がラスボスを倒しても、それが絶えず、際限無く新たなラスボスが現れたら勝ち目など微塵もない。
どんな優れた集団もこの圧倒的戦力の前では手の打ちようがない。
それだけの存在感をカノンが紹介された強者達は醸し出していた。
ゼルトザームが可愛く見える程だ。
たったこれだけの紹介で、カノンはクアンスティータという存在の底なしさ加減をかいま見た。
だが、それでも、このトルムドア・ワールドからしてみれば、極一部を紹介しただけに過ぎないのだ。
さらにその宇宙世界が24もクアンスティータは持っている。
どれだけ、理解するのにかかるのか、カノンは見当もつかなかった。
「富吉さん、あれ持ってきてぇ~」
トルムドアは冨吉に合図する。
すると、冨吉は光の塊を出現させる。
その光はスライムのようにぷにょぷにょした感じがする。
「何……?」
カノンはその光に目を向ける。
すると、その光はふよふよと形を変えて行き、女の子の様な姿になった。
「これはねぇ~冨吉さんの理想の女の子だよぉ~。普通は出来ないんだけど、冨吉さんは全能者オムニーアだからこっちでも作れるんだよぉ~」
こっちとは、トルムドア・ワールドの現実世界の事を指す。
普段はトルムドア・ワールドの夢世界でのみ存在する女の子を出したのだという事を言いたいのだ。
驚いているカノンの反応を見て、トルムドアは喜ぶ。
トルムドアの反応は子供がお絵かきをして、それを母親に見せるようなものだった。
ねぇ、すごいでしょ、と言って、すごいすごいという反応を期待しているのだ。
言葉に出さなくてもカノンの反応を見ればそれがすごいと思っている事は明白だったので、喜んだのだ。
冨吉が出した女の子は、
「私、聖依 美架(きよい みか)よろしくね」
と言った。
ちゃんと名前もあれば、自我もある。
作り物とは違う生命力のある感じがした。
トルムドアは、
「じゃあ、美架ちゃんも一緒にカノンママを案内しよぉ~」
と言った。
冨吉は、
「トルムドア様、では、あっしは、そろそろ……」
と言った。
「うん、ありがとう。お仕事、頑張ってねぇ~」
「へい、失礼しやす……」
どうやら、何かを作り出している途中で呼び止めていたらしい。
冨吉はどこかに去り、その場には、カノンとクアンスティータ・トルムドア、聖依 美架の三名が残った。
「じゃあさぁ~どこ行こっか?」
トルムドアは友達と遊びに行く相談をするかのような感覚で、カノンと美架に話しかける。
「トルムドア様、あそこはどうですかね?」
と美架。
「あそこか~、良いね、あそこ行こう」
と返すトルムドア。
【あそこ】では、カノンだけがそこが何を意味しているのか解らない。
ここは、トルムドアの支配するトルムドア・ワールドだからこそ、そこに存在する美架の気持ちは、答えを聞かずとも何が言いたいのか解るのだろう。
カノンは、虎穴に入らずんば虎児を得ず――
とりあえず、トルムドアと行動を共にして、このトルムドア・ワールドがどのようなところなのかをさぐる事にした。
元の世界に残して来たユリシーズ達が心配じゃないと言えば嘘になる。
だが、心配してもこの状況は変えられない。
今できるベストを尽くしてカノンは事態を好転させようと思うのだった。
トルムドアの言った、クアンスティータの所有する全ての宇宙世界の基本になる宇宙世界がこのトルムドア・ワールドであるのであれば、このトルムドア・ワールドを理解する事がクアンスティータの所有する宇宙世界を理解する第一歩となるのではないかとカノンは考えている。
トルムドアは、どうやら、カノンに何かをやらせたいらしいという事は解っている。
解っている事はそれくらいだ。
解らない事は山ほどあるトルムドア・ワールド――
千里の道もまず、一歩から。
前に進み出ないと何も変わらない。
カノンは最初の第一歩を踏み出すのだった。
カノンそっくりな容姿を持ち、まるで、カノンの無邪気な部分を強調したかのような性格を持っているクアンスティータ・トルムドア。
今まで、彼女のサポートをしてきてくれたユリシーズ達は今は居ない。
別の宇宙世界で、カノンとは別の時空で何かをしている。
ユリシーズ達は自分が居なくてもちゃんと人命救助をやってくれるだろうか?
シアンやパストと喧嘩しないだろうか?
絶対者アブソルーター達はどうなっているのだろうか?
クアースリータ誕生時に一応和解した形にはなったが、彼ら彼女らが、ユリシーズ達とまた、もめないとも限らない。
そういう面で心配していたが、今は何をやってもそれは届きそうもない。
絶対的な力を持つ、クアンスティータの宇宙世界に囲われてしまったのだから。
今は生き残る事。
それが、明日の希望に繋がる。
カノンは恋人、吟侍からそれを教わっている。
生きている限り、希望はある。
何も見えなくてもいつかは見えるようになる。
その事を最愛の恋人の背中を通して、ずっと見てきたのだ。
カノンは吟侍を信じ、トルムドア・ワールドを生き抜く事を誓うのだった。
以上【01】