04 トルムドア・ワールドへ


 少々、時を戻す。
 クアンスティータ・トルムドアによってカノンはトルムドア・ワールドに連れてこられた。
 クアンスティータは24もの宇宙世界を所有している。
 本体と側体が1つずつ宇宙世界を所有していくとされている。
 トルムドア・ワールドはその中の一つである。 
 クアンスティータの所有する宇宙世界にはクアンスティータ・パスポートと呼ばれる通行手形のようなものを得ないと渡れない。
 だが、トルムドア自身が認めれば、トルムドア・ワールドに入る事が可能となる。
 カノンはクアンスティータ・トルムドアに認められ、トルムドア・ワールドへ入る事が許された。
 カノンは無邪気そうにはしゃぎながら、自分を連れ出したクアンスティータ・トルムドアに尋ねる。
「あなた、お名前は?私がカノンだという事は解っているみたいだけど、私はあなたの事知らないの。だから教えてくれないかな?」
「あ、名乗って無かったね。私はクアンスティータ、第一側体クアンスティータ・トルムドアだよぉ~」
「あなたもくーちゃんなの?見た目が私とかわらないように見えるけど、赤ちゃんじゃないの?」
「本体はね、ずっと赤ちゃんなんだよ。でも、側体に赤ちゃんの時期は無い。初めからこの年のままでいるの」
 トルムドアの言葉を聞き、カノンは目の前の存在が噂に聞いていたクアンスティータだと確信した。
 クアンスティータ学を研究してきた彼女だからこそ理解出来たと言える。
 調べて行く内に、クアンスティータは時や空間の概念の外にいる存在だという事が確認出来ていた。
 もっと遙かに高次元の何か。
 いや、何かという言葉も適切でないのかも知れない。
 そのため、成長するという考え方とは別の存在だと仮定していた。
 その仮定が当たったという事となる。
 カノンは恋人である吟侍が7番の化獣ルフォスを心臓に宿しているという事からも化獣についても調べていたが、比較すれば比較するほど、クアンスティータという化獣だけは他の化獣のパターンとはかなり異質な結果を出していた。
 分解して考えると全ての化獣の名前に意味があり、例えばルフォスの名の意味する所は【運】や【運命】に行き着く。
 クアンスティータと関わるという【運命】を持っていたと考えれば、しきりにクアンスティータを気にしていたルフォスの気性も理解出来た。

 クアンスティータの双子の姉であり兄でもあるクアースリータの意味は【質】、クアンスティータは【量】を意味する。
 クアースリータは力の本質、精度が非情に優れた化獣である。
 対してクアンスティータは圧倒的なまでの物量を意味する化獣だ。
 調べれば調べる程、色んなものが噴き出してくる化獣――それがクアンスティータだ。