お皿型の浮遊装置に取り付けられている特殊警察との連絡用の通信装置に緊急連絡が入ったのはそれから間もなくしての事だった。
 署員による、
「緊急事態発生、緊急事態発生、署長、聞こえますか?署長の現在地より、南東2246の地点に【ロスク】と思われる反応が現れました。至急調査に向かってください」
 との連絡が来た。
 旅すがら【リセンシア】に【ロスク】の事を聞いていなければ、【緊急事態発生】と言われても何の事だかわからなかっただろう。
 だが、今はわかる。
 【ヴェール】と同じくらい、危険なものだと言うことが。
 【ヴェール】の場合は、偽クアンスティータの意思と同等の意思で動くために止める事が出来た。
 だが、【ロスク】は違う。
 【ロスク】は偽クアンスティータになれなかった怪物だ。
 言ってみれば、反偽クアンスティータと呼んでも良いくらいの存在。
 偽クアンスティータであるタティーの言うこと等聞きはしない。
 即刻、排除しなくてはならない、超危険な存在なのだ。
 【ヴェール】の時の様に何となくで解決出来る相手ではなかった。
 一報を受け、タティー達に緊張が走る。
 相手は、クアンスティータの汚点とも言うべき存在。
 クアンスティータ属性ではないが、偽クアンスティータを元々、目指していた存在だというだけあって、その力は恐ろしく強大だ。
 他の偽クアンスティータも油断すると手痛いしっぺ返しを食らうほどの相手。
 まして、偽クアンスティータのオマケのようなタティーが余裕を持って戦えるような相手ではないのだ。
 これまでの様に嫌々やっているような消極的な態度だと一発でやられてしまう恐れもあるのだ。
 【ロスク】は最大神殿の力を借りずとも自然に【ステージ2】もどきの力をひねり出せる。
 つまり、通常の攻撃力そのものが、現界を揺るがすほどの力を秘めているのだ。
 偽クアンスティータの意思に従わない、それに近い力を持つ存在。
 それは存在して居るだけで脅威と言えるだろう。
 神話の時代より存在し、今だに一掃できていない脅威――それが【ロスク】だ。
 【ヴェール】の場合は起動させるというワンクッションがあったが、【ロスク】の場合は、確認次第戦闘ということになる。