理由はともかく、最大神殿という心強い後ろ盾を得たタティー達は予定通り、【ギルティーヤ】の町まで進めばそこに【ヴィホヂット】一味も来ていてそこで御用。
 そういう手はずだった。
 だが、最大神殿とて完璧では無い。
 穴は少なからずある。
 それは、【ヴィホヂット】が手にしている【ヴェール】の起動キーだ。
 これを【ヴィホヂット】が動かしてしまうと全てがパァとなる可能性だってあるのだ。
 フルテララの星読みによるとその可能性は五分と五分。
 【ヴィホヂット】の気分次第で、どうとでも転ぶと出ていたのだ。
 全ては【ヴィホヂット】の気持ち次第――
 なんとも不安な事だろうか。
 あの女は気分次第でろくでもない事を考える女だ。
 その女の気持ち次第と言われて、安心など出来るはずもない。
 フルテララからこの計画を聞かされたタティー達は不安に包まれた。
 うまく行く可能性は50%。
 だが、それでも行くしか無い。
 タティーは少しでも不安を解消するためにまた、入浴し、いつもの光景を作り出し、安心しようとした。
 【めがねさん】は、
「タティー様。大丈夫ですか?」
 と言ってきたが、タティーは、
「不安です。どうにかなりませんか?」
 と答えた。
 【ヴィホヂット】の性格はある程度、理解して居る。
 下手に追い詰めると何をするかわからない女だという事も。
 だから、安心ですという答えが欲しかった。
 【めがねさん】に大丈夫ですと保証して欲しかった。
 だが、【めがねさん】は、
「【ヴィホヂット】という女はどうでも良いのですが、【ヴェール】がクアンスティータ学を利用している兵器である以上、安心ですとは言い切れません。クアンスティータ学はクアンスティータ様を理解しようとして発展した学問です。何があるかわかりませんので」
 と正直に答えてくれた。
 結果不安は増した。
 そして、その不安は的中することになる。
 フルテララが懸念していたのは、【ヴィホヂット】の悪行についてだ。
 フルテララは何も【ヴィホヂット】が【ヴェール】の起動キーを起動させるとは思っていない。
 【ヴィホヂット】には【ヴェール】を起動させる方法がわかって居ないのだから。
 それよりも【ヴィホヂット】の悪行が、【ヴェール】の判断基準を超えた時、【ヴェール】は自動的に起動する。