タティーに対しては誠実でありたいと思った【風来坊のえーちゃん】は魅力の一つである力の強さを封印した。

 一方、タティーの方も迷っていた。
 【ミスターサカキ】は金に物を言わせ、
 【カルメン】は自意識過剰のナルシスト。
 どちらも自分の好みではない。
 唯一、タティーの琴線に触れたのは【風来坊のえーちゃん】なのだが、彼はタティーのお風呂を覗き見たという前科がある。
 その事が引っかかっていた。
 迷っていると、【ミスターサカキ】が、
「俺様は、婚約指輪も贈っているんだ。その婚約指輪はいくらすると思っているんだ?国の一つや二つ買える金額だぞ。だから、俺を選ぶんだよぉ」
 と怒鳴った。
 それを聞いたタティーは、あぁ、指輪の主はこの人なんだ?という事と、なんか幻滅したなぁ~という感想が同時に起きた。
 三人の中ではこの【ミスターサカキ】が一番あり得ない。
 タティーは、【ミスターサカキ】の前に進み、送られて来た指輪を出す。
 【ミスターサカキ】は、
「おお、それだよ、それ、俺を選ぶんだな?」
 と言ったが、タティーは、
「あの……これ、お返しします。あなたとはありえませんので……」
 と言った。
 お金が必要ないとは言わないが、お金だけの生活もあり得なかった。
 結婚して引退したいタティーだが、だからと言って誰でも良いという訳では無い。
 【ミスターサカキ】は、
「お、俺をフると、後悔するぞ。俺はこの【エニグマ】領で……」
 と言った時、背後から、
「その事なんですが……」
 と声がして【ミスターサカキ】は振り返った。
 すると、【ミスターサカキ】と五将とのつなぎ役をしている者が現れた。
 【ミスターサカキ】は、
「お、おぉ、あんたか、あんたからも言ってやってくださいよ。俺を敵に回したら、この【エニグマ】領での立場は保証しないって」
 と言ったが、そのつなぎ役の者は、
「それなんですが、【ミスターサカキ】、あなたは現時点より、【エニグマ】様への謀反の疑いがあるとして、全権剥奪の上、拘束させていただきます」
 と言った。
 【ミスターサカキ】は、
「え?な、なんで……?」
 と言ったが、ずるずると引っ張られていった。