配下の者は、
「またですか?あなた様は御領主様なんですから、もう少し……」
 と言い、【エニグマ】は、
「そういうカタッ苦しいの嫌いなんだよ。おれっちは【風来坊のえーちゃん】やっている方が性に合っているんだって」
 と言った。
 配下の者は、
「少し御自重ください。見てましたよ。あれでは配下の者に示しがつきません。あの女達を捕まえて……」
 と言ったが、【エニグマ】は、
「野暮な事はよせよ。おれっちは覗きをしたから捕まってお仕置きを受けた……ただ、それだけの事だ。それに対して、部下使って報復に出た日には余計みっともないだろうが。絶対にやめろよな、そういうの……」
 と言った。
 配下の者は、
「【エニグマ】様がそうおっしゃるのであれば、従いますが、情けのうございますよ」
 と涙ぐんだ。
 【エニグマ】は、
「そういうなって。運命の赤い糸ってやつかもしれんな。――彼女、名前、なんて言うんだろうな?」
 と言った。
 配下の者が、
「早速、調べます」
 と言ったが、【エニグマ】は、
「だから、そういう野暮な真似は止めろっつってんだって。俺が自分で調べてアプローチすっから黙ってみてろって」
 と言った。
 配下の者は、
「はぁ……わかりました。そうさせていただきます。では失礼します」
 と言って、【エニグマ】の前から消えた。
 【エニグマ】は、
「それにしても綺麗な子だったなぁ――今度、いつ行こうか……」
 と言って、歩いて町のどこかに消えて行った。
 飄々(ひょうひょう)とした【エニグマ】という男。
 彼は味方となるのか、それとも敵に回るのか?
 それはまだ、わからない。
 彼に対してはわからない事が多すぎる。
 今は正体が【エニグマ】という領主である【風来坊のえーちゃん】と言うことしかわかっていない。