負けちゃだめだ。
 負けちゃ駄目だ。
 負けちゃ駄目だ。
 得意の自己暗示でなんとか必死にこらえる。
 もう駄目だ――
 そう思い始めた頃――
「あふんっ……」
 という声が漏れる。
 え?
 何?今の?
 と思ったタティーだが、相手の顔を見たらうっとりとした顔をしているのが確認出来た。
 どうやら、【チャーリー】選手はマゾヒストとしての要素を隠し持っていたらしい。
 張り手の応酬でその内なる欲望が開花してしまったようだ。
 【チャーリー】選手は、
「あぁん。もっと……もっとお願いよぉ~……」
 という声を上げた。
 ゾッとするタティー。
 すると審判が、
「そこまで。【チャーリー】選手、失格です。【女王サラニマス】はマゾヒストではなくサディストです。【女王サラニマス】がおねだりしてはなりません」
 と言った。
 どうやらなんとか勝てたようだ。
 苦しい戦いとなった。
 もう二度と【女王サラニマス】のコスプレはするまいと思うのだった。
 大苦戦をしたが、なんとか決勝進出を果たしたのだった。
 なんとか安心したが、それよりも今は顔を冷やしたかった。
 何発も張り手を食らったので顔がパンパンだった。
 タティーは、
「もう、嫌……こんなの……」
 と泣き言を言った。
 【クインスティータ】は、
「後、一つですわよ。気合い入れて」
 と彼女なりの激励をした。
 優勝したあかつきには何かしてもらわないと釣り合わないと思うタティーだった。