被害者という意味では助かった2人も被害者と言えるが、この場合は【死】という結果が待っている被害者の数だ。
 この【パンドラ】の手鏡の被害者を救う方法は簡単だ。
 手鏡を奪って割れば良い。
 だが、隆三は刑事だ。
 刑事がさして理由も示さずに手鏡を奪って割る事は出来ない。
 それが危険だと言う証拠が必要だ。
 【パンドラ】の手鏡の虜になっている被害者にその証拠を示すのは極めて困難だ。
 そもそも、おかしいと気づくのであれば、隆三が割るまでもなく、被害者が自分で割れば済む話なのだから。
 割らないという事はそれだけ、心がつかまれてしまっているという事になる。
 手が出ない――
 それを解決するのはやはり、対策チームか、あの時、大きな力を得た、結羽の力を借りに行くかするしかなかった。
 刑事なのに何も出来ない――
 その無力感が彼を苦しめる。
 隆三は悩んだ。
 悩んで悩んで悩んだ末、結羽と会うことにした。