だが、隆三はこの【パンドラ】事件は警察の手に余るものではないかと思えてきていた。
 捜査線上に浮上した【パンドラ】財団が何かしら関わっているのではないかというところまでは突き止めたのだが、それ以上はもみ消されているのか、証拠となるようなものは発見出来ない。
 圧倒的な権力に捜査のメスを入れたいという気持ちはあるが、上からこれ以上関わるなと命令されてしまっていた。
 隆三は【パンドラ】の香水事件からも外され、今回の【パンドラ】の手鏡事件からも深入りするなと釘を刺されてしまっている。
 だが、隆三は美也が持っていた手鏡を目撃してしまった。
 美也の容姿は【パンドラ】とはまだほど遠いものだったが、それでもまるで取り憑かれたかの様にうっとりしているその表情は明らかに異常だった。
 4人目と5人目になりそうな女性は無事だったが、美也は6人目の被害者になりそうな雰囲気を出していた。
 いや、6人目という言い方は正しくない。
 4人目と5人目になりそうな女性は無事だったので、美也が本当の4人目の被害者になる可能性があるのだ。