その思いで毎朝、運動に出ているが、ポニーテールの少女は見つかる時と見つからない時がある。
 町中を歩いて彼女が見つからなかった時は、諦めてとぼとぼと帰る。
 今日も空振り――これで三日続けて見つからない。
 彼女はもう走るのを止めてしまったのか?
 そんな事を考えると憂鬱になる。
 たかが三日。
 されど三日。
 会えなければ会えないほど、和毅の恋心は切ない吐息をはかせる。
 ポニーテールの少女には会えなかったが、妙な男には二日連続で会っていた。
 松村 俊征(まつむら としゆき)という高校生だ。
 同世代だと思うから声をかけて来たのかも知れないが、俊征は何でこんなタイプが自分に声をかけたのかと思うくらい口下手だった。
 苦手な会話を無理してやっている感がにじみ出ていた。
 俊征は妙な事を口走っていた。
 【あなたから【パンドラ】の気配がします。気をつけてください】
 と。
 あいにく【パンドラ】なんてものに縁はない。
 おそらく女の名前か何だろうが、生まれてこの方、和毅は、家族以外の女性とろくに話したことも無い。
 【パンドラ】を探したければ他をあたってくれ――そう思ったが、フとあることに気づく。