ここまで来てしまうと一刻を争う事になる。
 13人目の被害者を出さないように幸夫の周りの人間関係を手当たり次第探っていった。
 俊征にも幸夫に接触して欲しいと頼み、動いていた。
 ここで、榮一郎達は大きなミスをしていた。
 それは、13人目の被害者の事だ。
 13人目の被害者は幸夫と付き合う女性だと思い込んでいた。
 だが、違っていた。
 13人目ははじめから決まっていたのだ。
 園田 章子によって、幸夫の体に13人目として、彼自身が選ばれていたのだ。
 幸夫は世を儚み、ビルの屋上から飛び降りた。
 今度は死が邪魔をされることもなく、彼は死亡した。
 【パンドラ】タトゥーの呪いは幸夫が12人の死を悼み、13人目として、自ら死を選ぶ事によって成就する呪いだったのだ。
 幸夫の死により、現場に駆けつけた、榮一郎達霊能者チームに2体目のビスクドールが現れ、呪いの元となる幸夫の遺体を回収した。
「ふふふ……これで3体目……」
 という【パンドラ】の勝ち誇った声が響く。
 2体目ではなく――3体目――
 ――そう、榮一郎とは別のチームが担当していた【パンドラ】の呪いもまた、成就していたのだ。
 ほぼ同時に成就してしまっていたのだ。
 負けてしまった――そうとらえるべきなのか?