【パンドラ】の呪いに遭遇したら一人で悩まず、必ず、専門家の指示を仰ぐ事が必要だ。
 等である。
 他にもいくつか説明したが、13体のビスクドールが揃うと世界が終わるかもしれないなどの情報は伏せておいた。
 それらの話を聞くと胡散臭さが増すから話さない方が良いと榮一郎に言われているからだ。
 【パンドラ】の呪いの被害者が出来るだけ、歩み寄りやすい情報だけを説明したつもりになっていた。
 だが、幸夫にとってはそれだけの情報でも怪しさは増すばかりで素直に頼むという訳には話が進まなかった。
 結局、
「知らねぇな、何の話だ?」
 と、とぼけられてそのまま帰られてしまった。
 幸夫には帰られたのだが、俊征は幸夫が何かの【パンドラ】の呪いに巻き込まれていると感じた。
 俊征もまた、僅かながら霊能力があるのだ。
 俊征から死相のようなものを感じ取っているからこそ、彼に声をかけたのだから。
 俊征は探偵でもないから、このまま幸夫をつけていっても巻かれるか見つかるかする恐れがある。
 そうなるとますます、幸夫は殻に閉じこもり俊征を警戒するだろう。
 こういう場合は、何もしないのが一番だ。
 焦らず、俊征が幸夫に感じた違和感などを榮一郎達に相談するのが最善の策であると言えた。
 増して、今は俊征もバイト中の身であるから勝手に抜け出す訳にもいかないのだ。
 俊征はバイトが終わるのを待って、家に帰ってから榮一郎に電話した。