02 救いの手


 絶望感に苛む幸夫に近づいてきた者がいた。
 松村 俊征だった。
「あの……すみません……何か悩み事とか……」
 と声をかける。
 俊征は幸夫がやっているバイトの後輩にあたり、勤務態度がおかしくなっていた幸夫を気にかけてくれたのだ。
 幸夫は、
「な、何でも無いよ。悪い、俊征……俺、今日、休むわ」
 と言って帰ろうとする。
 その時、俊征は、
「あの……変な事聞いて良いですか?――先輩の周りに【パンドラ】って名前の不吉そうな事ってないですかね?」
 と聞いてきた。
 俊征の性格は口下手で、積極的に声をかけるというタイプではないので、幸夫は眉をひそめた。
 幸夫は、
「どういう意味だ?」
 と聞き返した。