だが、タトゥーを確認してから二週間が経とうとしていたその夜、彼女は自宅の寝室で寝ていた幸夫にまたがり、彼の胸の下にシールを貼り付けた。
「うふふふ……これで私とおそろいよ」
 と不気味に笑う章子に対してはもはや嫌悪感しか抱かなくなっていた。
 警察に通報し、警官が彼女を連れて行った。
 翌朝から幸夫は章子の姿を見なくなった。
 人づてに聞いたところによると、警察に連れて行かれた夜にそのまま死亡したとの事だった。
 結局、はっきり別れられなかったから章子は死んでしまった。
 その事実が幸夫を苦しめる。
 だが、事態はそれよりも深刻なものへと変わっていた。
 章子が生前、幸夫に貼り付けたシールがこすってもこすってもはがれないのだ。
 何日かして、ようやくはがれたと思ったら、章子と同じように【パンドラ】のタトゥーが幸夫の体に刻み込まれていたのだ。
 まるで彫ったかのようにだ。
 元はただのシールだったはずなのに。
「ど、どうなるんだ、これ……?」
 幸夫は呆然とした。
 幸夫は恐怖した。
 幸夫の体の【パンドラ】タトゥーを確認してしまったら、幸夫自身が殺されるのではないかという予感がしたからだ。