だから、幸夫は別れを決意する。
 そんなことが続くから幸夫は本気で女性を愛せなくなってしまった。
 どんなに愛しても幸夫がタトゥーを確認してしまえば、別れなくてはならない。
 だから、いつも幸夫は体だけが目的のつきあいしかできなくなってしまっていた。
 必然と、身持ちの堅い女性は近寄らなくなり、体だけが目的でもオッケーという女性が近づいて来ることになる。
 幸夫は顔やスタイルもよく、運動も出来るため、幸夫の体が目的の女性が多く集まってくるのだ。
 幸夫自体は本気の恋愛を望んでいるが、望んでも望んでも、その愛は手に入らない。
 愛したいのに愛せない。
 それが幸夫の気持ちを落ち込ませていた。
 いつか本気で愛してしまった女性が現れるかもしれない。
 そうなったとき、幸夫はどうしたら良いのだろう?
 決してタトゥーは彫らないで欲しいと願うか?
 それとも、肉体関係には持って行かないか?
 それでも、普通に見える位置にタトゥーは彫れる。
 肉体関係にならなくても普通にタトゥーは見えてしまうこともありえるのだ。
 本気の恋愛が出来ずセフレの様な彼女だけを作っていくということを繰り返す。
 そのうち、幸夫は軽い男というレッテルが貼られ、軽い女が回りを囲むようになる。
 【パンドラ】のタトゥーが憎い――そう思うようになっていた。
 憎いが【パンドラ】のタトゥーを確認しなかったら、誰も死ぬようなことはない。
 そう思って油断していた。
 事は章子との別れ話で起こった。